希望のまち

さいたま市の歌「希望のまち」

「さいたま市の歌 希望のまち」は、埼玉県さいたま市の市歌です。作詞は福原くにこ、補作詞と作曲はタケカワユキヒデが手掛けました。この楽曲は、2001年に浦和・大宮・与野の3市が合併して成立したさいたま市が、政令指定都市へ移行したことを記念する事業の一環として制作されました。

制作の背景

市歌の制作にあたっては、歌詞の一般公募が全国規模で行われました。その結果、880点もの応募作品の中から、東京都羽村市在住の福原くにこの作品が最優秀作品として選ばれました。歌詞の選考委員長は、旧浦和市出身のタケカワユキヒデが務め、彼は選ばれた歌詞の補作詞と作曲を担当し、楽曲を完成させました。この市歌は2003年3月に発表され、翌月の政令指定都市移行記念式典で正式に市歌として制定されました。

楽曲の特徴

「希望のまち」が制定された翌年の2004年には、市の総合振興基本計画が『さいたま希望のまちプラン』というタイトルで策定され、その後の改訂でもこのタイトルが引き継がれています。

制定時の歌唱は、作曲者であるタケカワユキヒデ本人と彼の2人の娘（武川基、武川アイ）によるユニット「タケカワユキヒデ & T's COMPANY」が担当し、アルバム『A Big Rock & Roll Star』に収録されました。楽曲の冒頭とエンディングには、浦和レッズと大宮アルディージャのサポーター有志によるサッカーのチャント（応援歌）風のエールが使用されています。

2011年以降は、埼玉中央青年会議所主催の「THE登竜門 夢KANAユニットオーディション」でグランプリを受賞した歌手やバンドが「さいたま観光大使」に任命され、1年交代でタケカワがアレンジした『希望のまち・夢KANAバージョン』を歌唱しています。

2017年11月には、市民への認知度向上を目指し、子供から高齢者まで誰もが踊れる振付を加えた「ゆめダンス」が制作されました。これには『～みんなで踊ろうバージョン～』と『～ヒップホップバージョン～』の2種類があります。振付は、さいたま市立大宮北高等学校ダンス部の部員らが考案しました。

発車メロディとしての利用

埼玉県内の多くのJR東日本の駅では、駅所在地の市歌を発車メロディとして採用していますが、その先駆けとなったのがこの「希望のまち」です。タケカワユキヒデが「自治体の歌は定着しにくい傾向があるため、他とは違う曲にしたい」と考え、自ら発車メロディ向けの音源を10パターン制作しました。そのうちの2パターンが浦和駅、大宮駅、さいたま新都心駅の京浜東北線ホームで発車メロディとして採用され、制定当日から使用されています。2007年10月1日からは与野駅と北浦和駅でも使用が開始され、現在では合計5駅で使用されています。

前身各市の市歌

さいたま市に合併される前の浦和市、大宮市、与野市、岩槻市もそれぞれ市歌を制定していました。これらの市歌の歌詞は公募で選ばれた作品に補作を加えたものですが、与野市の場合は入選作がありませんでした。

浦和市歌: 作詞・吉沢厚子、補作・神保光太郎、作曲・中田喜直。1959年制定。
大宮市歌: 作詞・田中酉之助、校正・下山懋、作曲・下総皖一。1950年制定。市歌としては廃止されましたが、市民愛唱歌や音頭と共にCD化されています。
与野市民歌: 作詞・野上彰、作曲・高田三郎、歌唱・藤山一郎。1963年制定。
岩槻市民の歌: 作詞・高橋寿雄、補作・石本美由起、作曲・栗田俊夫、歌唱・青木光一。1978年制定。岩槻区役所でカセットテープの貸し出しが行われています。

その他

さいたま市に関連する楽曲としては、2013年に政令指定都市移行10周年を記念して作られた市民音頭「さいたま市10区音頭」（作詞・作曲：木村孤童）があります。ただし、さいたま市は合併協定で「市のおどりについては現行の通りとする」としているため、正式な音頭としては認定されていません。

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