帝国国策遂行要領

帝国国策遂行要領について

帝国国策遂行要領（ていこくこくさくすいこうようりょう）は、1941年9月6日に当時の第3次近衛内閣の下で御前会議において決定された、日本が直面していた国際情勢に基づく政策文書です。この要領は、同年11月5日には東條内閣によって再決定され、開戦に向けた方針を強める内容となりました。

経緯

1941年8月、アメリカが日本に対する石油の全面輸出禁止を宣言しました。この状況を受け、日本政府はアメリカやイギリスに対して最低限の要求を呈し、交渉期限を10月上旬に設けました。この期限までに要求が受け入れられなければ、開戦も辞さない方針が策定されました。しかし、9月6日の御前会議で昭和天皇が開戦に反対し、外交による解決を命じたことによって、状況は変わりました。この際、明治天皇の詩が引用され、外交努力を強調することとなりました。

その後、10月17日に東條英機が新内閣を発足させる際に、9月6日の決定を白紙に戻す命令が下されましたが、東條はその決定を実行することなく、実質的に方針を継続させました。これにより、外交交渉は引き続き行われることになり、11月5日に再び御前会議で帝国国策遂行要領が決定されました。

新要領の内容

昭和16年9月6日の御前会議決定においては、まず日本が米英蘭に対して持つ外交要求事項が示されました。これに関わる基本的な考え方は、日本の国防を守るための自存自衛であり、対米戦争を辞せざる決意が表明されました。また、外交交渉が続けられる中で、もし10月上旬までに日本の要求が通らない場合には、すぐに開戦を決意するという方針も盛り込まれました。

この要領では、外交交渉の最小限の要求事項が列挙され、米英には日本の支那事変への干渉を行わないよう求めていました。特に、米英が東の国防を脅かす行動を控えること、また、南東アジアでの軍事権益についての制約が挙げられました。

その後、11月5日の御前会議では、状況の改善が見られない場合、武力発動の時期を決定し、対米英蘭戦争を決意する内容に再度更新されました。具体的には、12月初旬に武力行使を行うことが策定され、外交交渉が成功した場合には武力行使を中止する可能性が示されました。

外交交渉は甲案と乙案として具体的に示され、この中で輸出に関する原則や武力進出の約束、通商関係の維持が提案されていました。特に、米国が日本に必要な物資を供給し、立場を尊重する旨の合意が求められていました。

結論

帝国国策遂行要領は、日本が当時抱えていた国際的な緊張に対する反応として、外交と戦争の二つの側面から日本政府の方針を示しました。それは、開戦という危険な選択肢を持ちながら、同時に外交の道を模索するものであり、当時の国際政治の複雑な状況を反映しています。この要領が持つ歴史的な意義は、日本の戦争に至る過程を理解するための重要な手がかりを提供しています。

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