帝国船舶

帝国船舶株式会社

帝国船舶株式会社（ていこくせんぱく）は、第二次世界大戦中の日本において、国家の指導のもとに設立された海運会社です。この会社は、軍需輸送の増加や航運制御の強化に対応するために、大手海運会社の出資により形成されました。

設立の背景と沿革

1937年、日中戦争の影響で軍需物資の輸送が急増し、それに続く1939年の第二次世界大戦の勃発が、世界的な船舶需要を引き起こしました。しかし、日本は自国の商船の数が不足し、外国船の確保が急務となりました。これを受けて政府の要請により、1940年に帝国船舶が設立されました。

設立時には、日本郵船、大阪商船、三井物産などの9社が資金を提供しました。これらの会社は均等に出資し、役員を各社から1名ずつ選出。国際汽船社長の黒川新次郎が代表に就任しました。会社設立後は国の監視下で運営されましたが、戦後の1946年に解散が決まり、消滅しました。

事業内容

帝国船舶は主に外国船の取得を目的とし、設立初年度の1940年にはまずドイツの商船2隻を購入。その後、1941年2月末までにドイツ商船5隻を取得しました。買付が難しくなった後は、傭船に切り替え、1944年までにドイツやイタリア、ノルウェー、ギリシャから合計42隻の商船を傭船しました。

加えて、政府との交渉により徴用された貨客船「帝亜丸」など、フランスの商船も管理下に置かれました。これらの多くは「帝」の文字を冠した船名に変更されています。実際の船舶運航は、出資した各社に委託され、軍による徴用も受けました。

戦争の影響

帝国船舶が所有していた船の大半は戦争による損失に見舞われました。特にビスマルク海海戦では、「帝洋丸」が空爆で沈没しました。結果、終戦時に残存したのは「帝山丸」ただ一隻でした。

船舶一覧

帝国船舶が傭船した船の中には、次のようなものがあります：

• - 帝雲丸 (1,548トン)：旧独貨物船で、リンガエン湾で触雷沈没。
• - 帝海丸 (7,691トン)：旧独貨客船、1944年に空爆を受けて大破。
• - 帝興丸 (15,105トン)：戦時中に徴用され、後に米軍の攻撃により沈没。
• - 帝山丸 (1,554トン)：終戦時に唯一残った船。戦後、米軍に接収されました。

これらの船は、各国の航空機や潜水艦の攻撃による災厄を受け、多くが戦争の終息とともに歴史の中に消えていきました。帝国船舶株式会社は、日本の船舶輸送の局面における重要な役割を果たしていたものの、その運命は戦争によって厳しいものとなりました。

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