帝国電力200形電車

帝国電力200形電車

帝国電力200形電車は、1934年（昭和9年）に帝国電力（現・北海道電力）が導入し、後に函館市交通局（函館市電）に引き継がれた路面電車です。この車両は、函館の街を彩る歴史的な存在として知られています。

導入の背景

1934年の函館大火は、市内の多くの路面電車車両を焼失させ、深刻な車両不足を引き起こしました。そこで帝国電力は、東京市電気局（現・東京都交通局）から余剰となっていた四輪単車1形（2代）（記号・ヨヘロ）45両を緊急購入しました。東京市電との間には、過去にも車両の導入実績があり、深い縁がありました。

車両の特徴

購入された車両は、1910年（明治43年）に製造または改造されたものでした。函館に到着後、地元函館船渠で整備を受け、新造された300形や、大火を免れた10形、100形などと共に運行に投入されました。1943年（昭和18年）11月1日には、路線とともに函館市に譲渡され、函館市電の一員として活躍を続けました。

なお、函館の路面電車車両で「200形」を称したのは、本形式が2代目にあたります。また、その塗色から「チョコレート電車」の愛称で親しまれていました。

廃車と転用

太平洋戦争後、戦時中の酷使や木製車体の老朽化が深刻化しました。500形や600形といった大型車両の登場とともに、200形は順次廃車が進められ、1957年（昭和32年）までに全車がその役目を終えました。

しかし、一部の車両は、その生涯を終えることなく、新たな役割を担うことになりました。1937年（昭和12年）には、244号、245号、242号、243号の4両がササラ電車に改造され、除雪車両として生まれ変わりました。現在も排3号、排4号の2両が冬季の軌道除雪に使用されており、その姿を見ることができます。

ササラ電車への改造に際しては、出入口のデッキ部分が取り払われ、代わりに死重が設置されました。車体前面にはササラが取り付けられ、客室部分には運転台とササラを駆動するための電動機類が設置されました。機器搬出用の扉が車体側面に設けられるなどの改造が施されましたが、天井には東京市電時代の壁紙が残されており、当時の面影を偲ぶことができます。

保存状況

残念ながら、帝国電力200形電車として保存されている車両は存在しません。しかし、ササラ電車として活躍する車両の中に、その歴史の一部が息づいています。

帝国電力200形電車は、函館の路面電車の歴史を語る上で欠かせない存在です。その姿は、函館の街の記憶として、人々の心に刻まれています。

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