帯取返

帯取返 (おびとりがえし)：柔道の奥深い投技

[柔道]]の手技である帯取返は、[[国際柔道連盟]と講道館が正式名称とする技です。IJF略号はOTG、旧称は「ハバレリ」として知られています。

技の原理と歴史

帯取返は、相手の肩越しに帯、もしくは背部深くを掴み、もう一方の手で相手の腋または下着を掴みます。その後、自らの体を後方に反らすことで、相手を側面に投げ落とす技です。掬投の一種であり、手車と似た動作を見せます。

この技が広く知られるようになったのは、モスクワオリンピック78kg級金メダリストであるショータ・ハバレーリ選手が得意技として使用していたことに由来します。そのため、「ハバレリ」という通称が定着しました。

実は、帯取返はジョージアの伝統格闘技であるチダオバの技「ガダブレバ（横崩し）」を基に、柔道のルールに適合するように改良されたものです。その後、柔道の既存技である「引込返」の変化技の俗称「帯取返」が、IJFの正式名称として採用されました。ただし、2013年以降の国際ルールでは、相手の脚や下着を掴む帯取返は認められなくなっています。

相手の腋や下着を掴まず、後帯だけを持って行う、脚による蹴り上げを含まない技も帯取返と呼ばれる場合があります。このように、帯取返には複数のバリエーションが存在します。

分類と名称の変遷

かつて帯取返には正式名称がありませんでした。ハバレーリ選手の得意技として「ハバレリ」と呼ばれ、世界柔道選手権大会の公式記録にもこの名称で記載されたことがあります。

1995年9月、千葉市で開催されたIJF総会において、IJF教育委員会(佐藤宣践委員長)の検討を経て、正式名称が「帯取返」と決定されました。当初は捨身技に分類されていましたが、1997年4月、パリで開催されたIJF教育委員会において、講道館からの指導を受けて手技に変更されました。講道館では、浮落や掬投に分類されていましたが、2017年4月に正式に手技「帯取返」として認められました。

なお、「帯取返」という名称は、帯を使った引込返を指す場合にも用いられます。これは手技ではなく、真捨身技です。また、倒れた相手をそのまま抑込技に繋げる技や、スイープ系の技にも「帯取返」と呼ばれるものがあります。これらの技は、この記事で説明する帯取返とは明確に区別されるべきです。

まとめ

帯取返は、その歴史と複数のバリエーション、そして国際ルールとの関わりなど、柔道の奥深さを象徴する技と言えるでしょう。ハバレーリ選手との繋がり、そして技の分類変更の歴史は、柔道の発展と技の解釈の変化を示しています。一見シンプルな技に見えますが、その背景には多くの歴史と工夫が隠されているのです。 柔道の技術を学ぶ上で、帯取返は重要な要素の一つであり、その多様な可能性を知ることは、柔道の理解を深める上で非常に役立つでしょう。 さらに、国際ルールとの整合性や、講道館における分類の変化など、柔道界における議論や進化も垣間見ることができます。

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