常光徹

常光徹

常光徹（つねみつ とおる、1948年8月23日 - ）は、日本の著名な民俗学者、文筆家です。彼は、口承文芸や民俗信仰を専門とし、日本の文化や社会における様々な伝承や俗信、妖怪といったテーマを研究してきました。

経歴

常光徹は、都内の公立中学校教員を経て、学習院大学文学部講師、国立歴史民俗博物館助教授、総合研究大学院大学助教授、教授を歴任しました。2008年には国立歴史民俗博物館副館長に就任し、2014年に定年退職後、名誉教授となりました。また、日本民俗学会第28期会長、日本口承文芸学会会長（2001、2年度）を務めるなど、学会の発展にも大きく貢献しました。高知県観光特使としても活動しています。

研究内容

常光徹の研究は、日本の民俗文化に関する広範な領域をカバーしています。特に、以下のテーマに焦点を当てています。

口承文芸: 口頭で伝えられる物語や歌謡、伝説などを研究し、その文化的意味や社会的機能を探求しています。
民俗信仰: 日本各地に残る民間信仰や習俗を調査し、人々の生活や文化における信仰の役割を解明しています。
学校の怪談: 学校で語り継がれる怪談を収集・分析し、現代社会における伝承の変容や意味を考察しています。
妖怪: 妖怪に関する伝承や俗信を研究し、人々の想像力や文化における妖怪の役割を探求しています。

著作

常光徹は、数多くの著作を通じて、その研究成果を広く社会に発信しています。主な著作には、以下のようなものがあります。

単著

『学校の怪談―口承文芸の展開と諸相』（ミネルヴァ書房、1993年／角川ソフィア文庫、2002年)
『うわさと俗信 ―民俗学の手帖から』（高知新聞社、1997年／河出書房新社、20216年)
『親指と霊柩車―まじないの民俗』（歴博ブックレット14：歴史民俗博物館振興会、2000年)
『しぐさの民俗学―呪術的世界と心性』（ミネルヴァ書房、2006年／角川ソフィア文庫、2016年）
『妖怪の通り道―俗信の想像力』（吉川弘文館、2013年)
『折々の民俗学』（河出書房新社、2016年）
『予言する妖怪』（歴博ブックレット31、2016年）
『魔除けの民俗学―家・道具・災害の俗信』（角川選書、2019年）
『日本俗信辞典　衣裳編』(角川ソフィア文庫、2021年7月)
『日本俗信辞典　身体編』(角川ソフィア文庫、2024年7月）

編著

『土佐の世間話―今朝道爺異聞』（石井今朝道語り）（青弓社、1993年)
『妖怪変化―民俗学の冒険③』（ちくま新書、1999年)
『国立歴史民俗博物館研究報告 兆・応・禁・呪の民俗誌』174集、2012年）
『河童とはなにか』（岩田書院、2014年）
『疫病と妖怪―アマビエと予言獣』（こぶな書店、2023年）図鑑解説、画：楢喜八

児童書

『学校の怪談』全19巻、楢喜八絵 （講談社KK文庫、1990-2014年) - 映画「学校の怪談」(東宝)原作。
『妖怪図鑑』飯野和好絵（絵本）（童心社、1994年)
『妖怪絵巻』飯野和好絵（絵本）（童心社、1997年)

これらの著作は、民俗学の研究者だけでなく、一般読者にも広く読まれており、日本の民俗文化に対する理解を深める上で貴重な資料となっています。

常光徹の研究は、日本の民俗文化の多様性や豊かさを明らかにし、現代社会における伝承の意義を再認識させる上で重要な貢献をしています。彼の業績は、今後も長く評価され続けるでしょう。

もう一度検索