常暁

常暁（じょうぎょう）は、生年不詳ながら平安時代前期に活躍した僧侶であり、小栗栖律師、または入唐根本大師とも称されました。出自は明らかではありません。彼は、最澄、空海らと共に、入唐八家の一人に数えられています。

常暁は、初めに元興寺の豊安から三論（中論、十二論、百論）の教学を学びました。その後、空海に師事し、灌頂を受けました。838年（承和5年）には、三論の留学僧として唐へ渡ります。

唐では、揚州において元照から三論の教えを、また文㻮（もんたん）から密教と大元帥法を学びました。大元帥法とは、怨敵や逆臣の調伏、国家安泰を祈る真言密教の秘法です。翌839年（承和6年）には日本へ帰国しました。

帰国後の840年（承和7年）、常暁は山城国宇治の法琳寺に大元帥明王像を安置し、その場所を修法院とすることを朝廷に請い、許可されました。さらに、宮中の常寧殿において、初めて大元帥法を修法しました。この大元帥法の修法は、後に後七日御修法に準じる重要な儀式として扱われるようになりました。

864年（貞観6年）には、その功績が認められ、権律師に任じられました。867年1月9日（貞観8年11月30日）に没しました。

常暁は、日本に密教と大元帥法をもたらした重要な人物として、仏教史に名を残しています。特に、国家の安泰を祈る大元帥法の普及に大きく貢献しました。

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