常楽寺 (半田市)

常楽寺の概要

常楽寺（じょうらくじ）は、愛知県半田市東郷町にある西山浄土宗の寺院で、山号は天龍山です。本尊として祀られているのは阿弥陀如来で、特に木製の阿弥陀如来立像は重要文化財に指定されています。また、常楽寺は知多四国霊場の第21番札所であり、知多百観音の第24番札所、さらには法然知多の第1番札所としても知られています。

歴史の歩み

中世の開基と信仰

常楽寺は1484年に天台宗の仏性寺を改修して開基され、西山浄土宗の流れを汲む宗派として、新たに創設されました。この寺院は、尾張藩初代藩主である徳川義直から、知多一郡の浄土宗の総本寺としてのお墨付きを受けています。また、常楽寺の第八世住職である典空顕朗は、徳川家康の従兄弟にあたる人物であり、そのために家康はこの寺を頻繁に訪れていました。特に1560年の桶狭間の戦い、1582年の本能寺の変、そして1589年の上洛の際には、常楽寺に立ち寄ったとされています。寺宝としては、家康が桶狭間の戦後に寄進した鐙や鞍が残されています。

近世の変遷

宝永5年（1708年）、常楽寺の第17世住職である光空周明上人が板山町の安養寺を開山しました。彼は寺号と寺を譲り受けた後、成岩に移転させました。

近代の復興

常楽寺は1924年に火災による甚大な被害を受け、数多くの建物が焼失しましたが、1940年に再建されました。作家の山岡荘八の小説『徳川家康』に登場することからも、その名は広く知られています。さらに1987年には、老朽化のために取り壊された山門が再建され、新たな美を加えています。

2011年に法然上人知多二十五霊場が設置され、常楽寺はその第1番札所として指定されました。特に、法然の稚児像が有名です。

境内の構成

常楽寺の境内には、本堂、山門、そして塔頭寺院があり、超世院、遣浄院、真如院、来迎院などが存在します。これらの建物はそれぞれ独特の歴史や特徴を持ち、訪れる人々に様々な体験を提供しています。

文化財とアクセス

常楽寺には、弘長3年（1263年）に円覚が作成した木造阿弥陀如来立像が重要文化財として保存されています。この像は1931年に指定され、寺の重要な遺産となっています。

現地情報

常楽寺の所在地は、愛知県半田市東郷町2-41で、交通アクセスは名鉄河和線の成岩駅または青山駅から徒歩約7分です。また青山駅からは、半田市の公共交通バス「ごんくる」を利用し、「常楽寺」バス停で下車することも可能です。これにより、多くの参拝者が寺を訪れやすい環境が整えられています。

常楽寺は、その歴史や文化財、宗教的な側面から、愛知県を訪れる人々にとって貴重な存在となっています。歴史に思いを馳せながら、静謐な境内で心を癒すひとときを過ごすことができるでしょう。

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