常楽寺 (鎌倉市)

常楽寺（じょうらくじ）

常楽寺は神奈川県鎌倉市大船に位置する、臨済宗建長寺派の寺院で、山号は粟船山（ぞくせんざん）です。創建は嘉禎3年（1237年）で、北条泰時を開基、退耕行勇を開山に迎えています。本尊には阿弥陀三尊が祀られています。

歴史

本寺は初めて「粟船御堂」と呼ばれ、北条泰時の妻の母のために建てられた供養の場でした。創立当初は密教や浄土系の要素を持っていたものの、次第に禅宗の影響が強まっていきます。後に本寺は臨済宗の一環としての地位を確立しました。

建長年間には、執権の北条時頼が宋から禅僧である蘭渓道隆を招くことにより、常楽寺は中国からの禅の教えを広める重要な場となりました。蘭渓の指導を受ける僧侶たちが訪れ、寺は盛況を極めました。その後、建長寺が創建され、それが鎌倉における禅宗の中心となったものの、「常楽は建長の根本なり」として、今もなお重要な地位を保っています。

伽藍

常楽寺には現在でも仏殿、山門、文殊堂が残っています。

仏殿

仏殿は元禄4年（1691年）に築かれ、神奈川県の指定重要文化財に認定されています。この中には阿弥陀如来像をはじめ、脇侍として観音菩薩像や勢至菩薩像が祀られており、蘭渓道隆の像も安置されています。天井の「雲龍図」は狩野雪信によって描かれたもので、その美しさは訪れる人々を魅了します。

山門

山門は17世紀に建てられ、鎌倉市の指定有形文化財として保存されています。茅葺の四脚門の形をしており、歴史的価値が高いです。

文殊堂

この堂には蘭渓道隆に関連する文殊菩薩の坐像が安置されており、特別な信仰が寄せられています。

文化財

常楽寺に関する文化財は多岐にわたります。

• - 木造阿弥陀如来及び両脇侍像

本尊として仏殿に安置されているもので、鎌倉市の指定有形文化財です。仁治3年の銘がついており、北条泰時が極楽往生を願って造立されたものと考えられています。

• - 梵鐘

宝治2年（1248年）の銘がある銅製の梵鐘は、国の重要文化財に指定されています。これは「鎌倉三名鐘」と称されるもので、寺名の由来が記された最古の史料でもあります。現在、鎌倉国宝館に保管されています。

• - 木造文殊菩薩坐像

鎌倉時代に作られたもので、神奈川県の指定重要文化財に認定されています。秘仏として文殊堂に安置され、毎年1月25日に行われる文殊祭にのみ一般に公開されます。

• - 木造釈迦如来坐像

南北朝時代の作で、鎌倉市に指定された有形文化財です。

また、他にも北条泰時の墓や南浦紹明の墓、歴史的な木曽塚などの史跡があります。これらは仏殿の背後にあり、多くの見学者にとって興味深いスポットとなっています。特に木曽塚は木曽義高の墓とされ、周囲にはその関連の塚や石碑も存在します。

交通

常楽寺へのアクセスは便利で、JR大船駅から徒歩15分ほどで到着することができます。また、江ノ電バスの「常楽寺」バス停からは徒歩5分で到着します。車を利用する場合は、神奈川県道21号横浜鎌倉線の常楽寺交差点を曲がり、100メートルほど進むと山門に至ります。

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