阿弥陀三尊

阿弥陀三尊とは

阿弥陀三尊は、仏教における仏像の安置形式の一つで、阿弥陀如来を中尊とし、その左右に観音菩薩と勢至[[菩薩]]を配した三尊形式です。この形式は、『無量寿経』や『観無量寿経』といった経典に根拠を持ちます。

観音菩薩は阿弥陀如来の「慈悲」を象徴する化身とされ、衆生の苦しみを救済します。一方、勢至[[菩薩]]は「智慧」を象徴し、迷いを断ち切る力を持ちます。これらの脇侍は、それぞれ役割が異なり、阿弥陀如来の救済活動を補佐します。

脇侍の見分け方として、観音菩薩は頭上の髻の正面に阿弥陀如来の化仏を、勢至[[菩薩]]は同じ位置に水瓶をそれぞれ表すことで、比較的容易に区別できます。

阿弥陀三尊の形式

阿弥陀三尊には、主に以下の形式が見られます。

三尊全てが立像
三尊全てが坐像
中尊が坐像、脇侍が立像
中尊が坐像、脇侍が跪坐

特に、中尊が坐像で脇侍が跪坐する形式は、来迎形式の阿弥陀三尊像として知られています。この場合、観音菩薩は往生者を迎え入れるための蓮台を持ち、勢至[[菩薩]]は合掌していることが多いです。

中尊の阿弥陀如来は、右手を施無畏印、左手を刀印を結ぶのが一般的です。また、地蔵[[菩薩]]や龍樹菩薩を加えて五尊像とした作例も存在します。

日本における阿弥陀三尊像の例

日本では、飛鳥時代から現代に至るまで、様々な阿弥陀三尊像が作られてきました。以下に、国宝や重要文化財に指定されている代表的な例を挙げます。

国宝指定の阿弥陀三尊像

中尊寺（岩手県）「金色堂堂内諸像及天蓋」：平安時代の作で、「木造阿弥陀如来及両脇侍像」を含む8躯が国宝に指定されています。中尊は坐像、脇侍は立像です。
清凉寺（京都府）「木造阿弥陀如来及両脇侍坐像（棲霞寺旧本尊）」：平安時代の作で、三尊とも坐像です。
仁和寺（京都府）「木造阿弥陀如来及両脇侍像（金堂安置）」：平安時代の作で、中尊が坐像、脇侍が立像です。
三千院（京都府）「木造阿弥陀如来及両脇侍坐像（往生極楽院阿弥陀堂安置）」：平安時代の作で、中尊が坐像、脇侍が跪坐する来迎形式です。
法隆寺（奈良県）「銅造阿弥陀如来及両脇侍像（伝橘夫人念持仏）」：飛鳥時代の作で、中尊が坐像、脇侍が立像です。

重要文化財指定の阿弥陀三尊像

願成寺（福島県）「木造阿弥陀如来及両脇侍坐像」：鎌倉時代初期の作で、三尊ともに寄木造です。
心光院（京都府）「木造阿弥陀如来及両脇侍像」：中尊は平安時代後期、脇侍は室町時代の作で、それぞれ異なる時代に作られています。
[善光寺]　「金銅阿弥陀如来及両脇侍立像〈一光三尊仏／（内仏殿安置）〉」：鎌倉時代の作で、善光寺式阿弥陀三尊の前立本尊です。

善光寺式阿弥陀三尊

善光寺の阿弥陀三尊像は、大型の後背を持つ「一光三尊形式」と呼ばれる特徴的な形式で知られています。この形式は、鎌倉時代に浄土宗によって広められ、阿弥陀如来を本尊、両脇侍を観音菩薩、勢至[[菩薩]]とみなすようになりました。善光寺の本尊は絶対秘仏とされており、その姿は公開されていません。しかし、それを模した前立本尊が重要文化財に指定されています。

まとめ

阿弥陀三尊は、仏教美術において非常に重要な存在であり、その形式や作例は多岐にわたります。それぞれの像が持つ意味や歴史を知ることで、仏教美術の奥深さをより深く理解することができるでしょう。

関連項目

釈迦三尊
薬師三尊
仏像
秘仏
仏の一覧
十三仏
* 往生

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