常滑市立図書館

常滑市立図書館について

常滑市立図書館は、愛知県常滑市にある公共[[図書館]]の総称です。現在、青海本館、南陵分館、こども図書室の3施設で構成されています。

概要

2021年9月30日までは、常滑市立図書館本館、青海分館、南陵分館の3施設体制でした。しかし、同年10月1日から長期休館に入り、2022年1月18日に青海分館を改称した青海本館、南陵分館、そして新たに設置されたこども図書室の3施設で再開館しました。この再編により、図書館法で定められた公共[[図書館]]としての本館は閉館となりました。

2015年度末の常滑市の人口は58,355人、蔵書数は206,139冊、貸出数は373,094冊で、市民一人当たりの貸出数は6.4冊でした。

歴史

明治期の図書館

常滑市は常滑焼で栄えた町であり、1909年8月13日に文部大臣から図書館設置の認可を受け、常滑町立常滑尋常小学校内に町立常滑図書館が開館しました。しかし、明治期に開館したこの図書館の詳細は不明です。

常滑小学校時代（1949年-1970年）

太平洋戦争後、常滑町長であった滝田次郎は、図書館の復興を急務と考えていました。滝田は愛知県立常滑高等学校の事務職員であった庭瀬ゆりを図書館主任に任命し、1949年9月1日に町立常滑図書館を開館しました。常滑小学校の教室の一部を閲覧室とし、新たに書庫を建設しました。開館時の蔵書は約3,000冊でした。当初は館内閲覧のみでしたが、1952年後半には蔵書数が約6,000冊に増えたため、館外貸出も開始しました。1954年4月1日に常滑市が発足し、町立常滑図書館は常滑市立図書館に改称しました。

1967年1月には火災により約5,000冊の図書が閲覧不可能となる被害を受けました。1970年の閉館時には蔵書数は約18,000冊、月間の利用者数は約1,000人、貸出数は約1,700冊でした。しかし、施設が老朽化していたため、新館建設の要望が高まりました。

新開町時代（1970年-2021年）

新館の開館

1969年4月に原祐三が図書館長に就任し、多くの図書館を視察しました。原は「貸出数」「児童サービス」「全市民へのサービス」の3点と、「陶業への発展に寄与」「視聴覚サービスの整備充実」「谷川徹三コーナーの整備」の3点を軸に図書館運営を進めました。1969年12月には貸出方式をニューアーク方式から逆ブラウン方式に変更し、保証金制度を廃止しました。

1970年2月13日に新館建設が始まり、8月31日に竣工、10月1日に開館しました。開館時の蔵書は約18,000冊でした。新館は鉄筋コンクリート造2階建てで、延床面積は1,447m2、総工費は1億3800万円でした。建物は株式会社三橋設計が設計し、西松建設株式会社が施工しました。館内には、谷川徹三から寄贈された図書を集めた谷川文庫や、視聴覚機器センターが設置されました。また、市内の陶芸作家による作品が展示されていました。新館は1970年度の中部建築賞を受賞しました。

開館後の高評価

開館後の蔵書数と貸出数は年々増加しました。1970年度の住民一人当たりの資料費は全国で6位タイでした。また、地方の小都市における図書館の好例として紹介されました。図書館コンサルタントの菅原峻は、原館長を「実行力あるアイデアマン」と評価しました。原館長時代には、多くの図書館関係者が視察に訪れました。

1973年度の市民一人当たり貸出数は全国6位、1975年度は全国5位でした。1976年に原館長が退任し、1977年には永田春己が館長に就任しました。永田館長は子ども向けサービスの充実を図り、1978年には園文庫を開設しました。1979年度の貸出数は市民一人当たり6.1冊で、全国4位でした。1981年には新館開館10周年を記念した『常滑市立図書館のあゆみ』を発行しました。

その後

1981年2月には返却ポストを設置しました。1990年には開館20周年記念事業として「大沢鉦一郎作品展」を開催しました。1994年には「伊勢コーナー」、1996年には「新空港資料コーナー」を設置しました。1999年には図書資料のバーコード化が完了しました。2000年には臨時駐車場を新設しました。2003年には常滑西小学校に外部書庫を設置しました。2004年には1970年以来の貸出数が1,000万冊を突破しました。2005年には中部国際空港が開港し、2006年には全日本空輸から提供された外字新聞を設置しました。2007年には日本航空から20万円の寄付を受けました。

複合施設への移転計画

2009年度には指定管理者制度を導入し、株式会社図書館流通センターが運営を行うようになりました。2018年には、市役所の移転に合わせて、図書館を含む複合施設を建設する計画が発表されましたが、市民の反対などにより、市庁舎を単独で整備する方針に変更されました。その後、図書館を含む複合施設の建設が再度計画されました。

本館の閉館後（2021年-）

財源不足により図書館の複合化は後回しとなり、こども図書室を新市庁舎内に整備、一般書は青海分館と南陵分館に移すことになりました。2021年9月30日に本館は閉館し、青海分館と南陵分館も長期休館に入りました。2022年1月18日には、青海本館と南陵分館が再開館し、新庁舎内にこども図書室が開館しました。

その他の施設

分館

常滑市には、青海本館、南陵分館の2つの分館があります。以前は鬼崎分館もありましたが、2014年に閉館しました。本館と分館の蔵書に加え、幼稚園・保育園用図書、小学校図書、中学校図書が所蔵されています。1982年に南陵分館、1983年に青海分館、1988年に鬼崎分館が開館しました。これにより、市内3地域への分館設置が完了し、移動図書館サービスは廃止されました。

移動図書館

1971年に移動図書館車「あおぞら号」が運行を開始し、当初は14箇所だったステーションが1975年には29箇所に増えました。1981年には移動図書館車両が更新されました。

特色

谷川徹三文庫

常滑市出身の哲学者、谷川徹三から寄贈された図書を集めた「谷川文庫」が、1970年の開館時に設置されました。谷川徹三は、開館後も11回にわたり、計12,365冊の図書を寄贈しました。1989年に谷川徹三が死去すると、息子の谷川俊太郎から6,642冊の図書の寄贈を受け、1990年に「谷川徹三文庫」が設置されました。2006年からは一般開放され、誰でも閲覧できるようになりました。本館閉館後、谷川徹三文庫の一部は南陵公民館図書室に移されました。

園文庫

1978年からは幼稚園、保育園、認定こども園を貸出拠点とする園文庫が開設されました。毎週土曜日に1人1冊ずつ家庭に持ち帰り、翌週火曜日に返却する形式です。園文庫で読み聞かせを推進した結果、図書館に来館する親子が増えました。

利用案内

開館時間

本館: 平日10時～19時、土日祝日10時～17時30分
分館: 平日・土日祝日ともに10時～17時30分

休館日

毎週月曜日、月末図書整理日、年末年始、特別整理期間

交通機関

本館: 名鉄常滑線常滑駅より徒歩約5分
青海分館: 名鉄常滑線大野町駅より徒歩約20分
南陵分館: 知多バス常滑南部線「南陵中学校前」停留所下車後、徒歩

参考文献

小川徹、奥泉和久、小黒浩司『公共[[図書館]]サービス・運動の歴史2 戦後の出発から現在まで』日本図書館協会、2006年。
常滑市立図書館『新館10周年記念 常滑市立図書館のあゆみ』常滑市立図書館、1981年。
常滑市立図書館『図書館年報 平成27年度の実績』常滑市立図書館、2016年。
* 「常滑市立図書館」『建築文化』第302号、彰国社、1971年、95-99頁。

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