愛媛県今治市に拠点を置く常盤
タクシー株式
会社は、地域に根差した交通事業者として長い歴史を持つ
企業です。
1960年の創業以来、
タクシー事業を中核としながらも、時代の変化や地域のニーズに応える形で多角的な事業を展開し、地域社会に貢献しています。
沿革
同社の歴史は、
1960年2月に矢野努氏が「常盤
タクシー」を創業したことに始まります。創業初期から新しい技術の導入に積極的で、
1963年には
今治市内で初めて三菱製
タクシー無線機を導入しました。さらに
1971年には、これも市内初のクーラー付き
タクシーを導入するなど、利用者の快適性を追求しました。
1975年2月には新社屋が完成し、より近代的な営業拠点体制を構築します。1980年代に入ると、経営の効率化とサービス向上のため情報技術の導入を進め、
1984年1月にはオフィスコンピューターを、
1989年11月には配車用のコンピューターシステムを導入しました。サービス品質維持のため、
1990年3月にはマット洗浄機を導入するなど、きめ細やかな配慮も行っています。
人材面での取り組みも特徴的で、
1991年6月には
今治市内の業界で初めて、求人広告を通じて養成乗務員の募集を開始しました。この取り組みは成果を上げ、翌
1992年3月には養成乗務員の中から市内初の女性乗務員が誕生しています。同年7月には9人乗りのジャンボ
タクシーを導入し、団体利用や多人数での移動ニーズに対応しました。地域全体の
タクシーサービスの質向上を目指し、
1993年4月には市内の同業者4社と共に夜間共同配車センターを設立・運用を開始。より迅速な配車体制を確立しました。顧客管理システムも導入され、
1996年5月には顧客管理用のコンピューターが導入されました。
2000年代に入ると、事業領域を福祉・介護分野へと大きく広げます。
2000年1月には乗務員に対するヘルパー養成を開始し、将来的な介護サービスの提供に備えました。同年11月には地域住民の多様な困りごとをサポートする「救援事業」(便利屋サービスおよびケアサービスを含む)を立ち上げ、生活支援サービスに乗り出します。そして
2001年5月には、介護保険法に基づく訪問介護事業所「ときわケアサービス」を正式に開設し、本格的に介護事業へ参入しました。その後も福祉・介護分野でのサービス拡充は続き、
2002年7月には専門員による
タクシー代行サービス、
2003年4月には障害福祉サービスを開始。利便性向上では、
2003年4月に携帯電話からの配車システム「E-CABかけつけサービス」を導入しました。
2004年3月には4社共同でGPSを活用した24時間体制での配車サービスを開始し、配車の正確性と迅速性をさらに向上させました。また、
2004年4月には居宅介護支援サービス事業を開始し、ケアマネジメント業務も手掛けるようになりました。
事業所の拡大も進め、
2006年3月には菊間営業所を、
2012年4月には三芳営業所(他社からの事業譲受による)を開設し、サービス提供エリアを広げました。介護分野では、
2006年8月に介護予防訪問介護サービス、
2007年1月には夜間対応型訪問介護事業を開始するなど、高齢化社会に対応したきめ細やかなサービスを提供しています。特定の利用者層への配慮として、
2007年11月には「子育て
タクシー」の運行を開始しました。
2009年4月には高部
タクシー株式
会社の事業譲受により、
会社規模を拡大しています。地域活性化や観光振興への貢献として、
2010年3月には
今治市の人気キャラクターをデザインした「
バリィさんタクシー」の運行を開始し、話題を呼びました。2011年4月には
今治市内で初めて、ユニバーサルデザインを取り入れたUD
タクシー(ラクティスタイプ)を導入し、高齢者や障がいのある方、妊婦など、様々な方が利用しやすい車両を導入しました。
2012年3月には通所介護サービスを提供する「ときわデイサービス事業所」を開設しています。
車両ラインナップも多様化を進め、
2016年3月にはストレッチャー付寝台車を導入し、緊急時や移送が必要な方のニーズに対応。同年5月には5人乗りの中型車(シエンタ)を導入しました。
2018年には車椅子での乗降が可能な車いす兼用車(シエンタ)や、ユニークなデザインの「ペタペタ桜
タクシー」の運行を開始しています。新たな事業として、
2018年7月からはアウトソーシング事業も開始しました。
近年では、地域公共交通の維持にも積極的に関わっています。
2022年4月からは朝倉地域での乗合
タクシー実証運行を受託し、2023年10月からは玉川地域での乗合
タクシーの本格運行を受託・開始しています。これは、地域における公共交通空白・不便地域の解消を目指す取り組みです。
事業内容
常盤
タクシー株式
会社は、一般
タクシー事業の他、以下のような多岐にわたる事業を展開しています。
- - タクシー事業(一般タクシー、ジャンボタクシー、寝台タクシー、子育てタクシー、UDタクシー、観光タクシーなど)
- - 訪問介護事業(ときわケアサービスなど)
- - 居宅介護支援事業
- - 障害福祉サービス事業
- - 介護予防訪問介護事業
- - 夜間対応型訪問介護事業
- - デイサービス事業
- - 救援事業(便利屋サービス、ケアサービス)
- - 旅行業
- - 乗合タクシー運行
- - アウトソーシング事業
今治市玉川地域において、2023年10月より
今治市から委託を受け、乗合
タクシーの運行を担っています。これは、同年9月末で瀬戸内運輸の路線バス(鈍川線、葛谷線)が廃止されたことに伴い、地域住民の移動手段を確保するために導入されたものです。予約制となっており、利用には事前の予約が必要です。運行ルートは主に以下の二つのエリアを結んでいます。
- - 旧市内エリア方面(イオンモール今治新都市、山内病院などを想定)
- - 玉川地域内
事業所
常盤
タクシーは、
タクシー会社としての枠を超え、地域の多様なニーズに応えるべく、福祉、介護、生活支援、そして地域公共交通の維持・活性化に積極的に取り組む
企業として、地域社会に欠かせない存在となっています。