常磐津文字兵衛

常磐津文字兵衛について

常磐津文字兵衛（ときわづ もじべえ）は、日本の伝統音楽である常磐津節における三味線方の名跡です。この名跡は数代にわたり受け継がれ、各代の演奏家たちはその伝統を守りつつも、新たな試みを行ってきました。

代々の継承

初代常磐津文字兵衛

初代常磐津文字兵衛（天保10年（1839年） - 明治38年（1905年）1月16日）は、本名を富坂文字兵衛とし、越後国（現在の新潟県）で鍛冶工の子として誕生しました。彼は常磐津文字八に弟子入りし、最初は八十太夫として活動。変声期を迎えた後、三味線方に転向し、八十松に改名します。1862年には常磐津文字兵衛と名乗るようになったとされています。初代文字兵衛の晩年には常磐津文佐と名乗り、多くの浄瑠璃作品が彼に帰属しています。

二代目常磐津文字兵衛

次いで、二代目常磐津文字兵衛（1857年 - 1924年）は、父が初代常磐津文字助であり、本名は鈴木金太郎です。彼も初代の弟子として、二代目常磐津八百八を名乗り、初代の死後に文字兵衛を継承しました。主な作曲には「お夏狂乱」があり、1918年には常磐津松寿斎の名でも知られています。

三代目・四代目

三代目常磐津文字兵衛は後に常磐津文字翁と名乗り、四代目常磐津文字兵衛は常磐津英寿として知られています。それぞれが三味線方の伝統を受け継ぎ、その活動を通じて常磐津節の普及に寄与しました。

五代目常磐津文字兵衛

五代目常磐津文字兵衛（昭和36年（1961年）1[[1月16日]]生まれ）は本名鈴木淳雄で、4代目の実子です。彼は東京で生まれ、東京芸術大学を卒業後、1977年には常磐津紫弘を名乗るようになりました。1996年に5代目文字兵衛を襲名しました。五代目は洋楽ロックとの融合を試み、1983年にはニューヨークのカーネギーホールでの演奏を果たしました。彼の妻はプロピアニストです。

受賞歴と影響

五代目文字兵衛は多くの受賞歴を有しており、1984年にはモービル音楽賞（邦楽部門）を受賞。2004年には国立劇場特別賞、2008年には文化庁文化交流使、2010年には日本芸術院賞を受賞。2012年には重要無形文化財「常磐津節」の総合認定保持者として認められ、2014年には春の叙勲で紫綬褒章を授与されました。彼の活動は、常磐津節の発展と伝承に大きく寄与しています。

結論

常磐津文字兵衛の名跡は、日本伝統音楽の重要な一部であり、その歴史は長く、受け継がれる技術と芸術性を持っています。代々の演奏家たちは、常磐津節の魅力を伝え続け、現代においても変わらず多くの人々に愛されています。

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