常磐津英寿

常磐津英寿の功績と生涯

常磐津英寿（ときわづ えいじゅ、1927年1月15日 - 2022年12月15日）は、日本の伝統音楽である常磐津節の奏者として知られ、数々の演奏や作曲を手掛けた名人です。東京府東京市京橋区木挽町に生まれ、彼の音楽の背景には代々続く家族の影響があります。本名は鈴木英二で、前名は四代目常磐津文字兵衛です。

家族と音楽の始まり

彼の音楽の道は、幼少期から始まりました。1932年には叔父である四代目常磐津八百八に師事し、続いて1936年には父親から直接教えを受けることになります。英寿の音楽的才能は、早くから認められ、1941年には「常磐津英八郎」として初舞台に立ちました。このような強い家族の絆と音楽の伝統は、彼の後の活躍に大きな影響を与えました。

奈良の道を歩む

1960年には、四代目常磐津文字兵衛を襲名し、同年に日本ビクターの専属作曲家・演奏家として活動を開始しました。これにより、彼はより広い舞台で常磐津節を広める機会を得ることになりました。その後、1996年からは常磐津英寿と名乗り、より多くの人々に認知されるようになります。彼は常磐津節保存会の名誉顧問、常磐津協会顧問としても活動し、後進の育成に尽力しました。

功績と受賞歴

常磐津英寿の業績は多岐にわたり、彼の音楽は多くの人々に愛されました。主な作曲作品として、名作『牡丹がさね』や『吾輩は猫である』などがあります。また、彼の才能は数々の賞に認められ、1978年から1983年にかけて芸術祭賞優秀賞を受賞しました。さらに、1984年にはモービル音楽賞、1993年には日本芸術院賞恩賜賞を受賞し、評価の高いアーティストとして名を馳せました。

彼の功績は表彰にもつながり、1983年には芸団協の芸能功労者表彰、1994年には日本芸術院会員、2014年には文化功労者として認定されました。また、1989年に紫綬褒章、1997年には勲三等瑞宝章を受賞し、彼の貢献が広く認識されています。

重要無形文化財としての認定

1992年には、重要無形文化財である「常磐津節三味線」の保持者として認定され、いわゆる人間国宝としての地位を確立しました。1999年には東京都中央区の名誉区民に選ばれ、その名声が地域にも広まりました。

最後の時

常磐津英寿は、2022年12月15日に東京都中央区の自宅で急性心不全により95歳という長寿を全うしました。彼の死は、日本の伝統音楽界にとって大きな損失であり、その影響は今後も長く語り継がれることでしょう。音楽を通じて残した数多くの足跡と、学び舎としての姿勢は、次世代へと引き継がれていくことが期待されます。

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