常陸大津の御船祭

「常陸大津の御船祭」は、茨城県北茨城市大津町にある佐波波地祇神社の春の例大祭です。海上安全と大漁を祈願し、5年に1度斎行されます。

概要

祭りは2日間にわたって行われ、初日は宵祭りと呼ばれます。港から町中へ、御船（空船）が陸上を渡御します。佐波波地祇神社では、夜に暗闇の中、神輿に御霊を移す儀式が執り行われます。

2日目の本祭りでは、神輿が神社から町中を渡御し、御船に乗船します。神輿を乗せた御船（神船）は港まで陸上を渡御し、港で神輿が下船した後、潮垢離（しおごり）の神事を行い、神社へと帰ります。

歴史

祭りの起源は古く、佐波波地祇神社の絵馬には1726年（享保11年）に行われたとの記録が残っています。当初は御船が海上を渡御する形式でしたが、港湾整備により渡御場所が陸地になったため、祭りの内容を大きく変えることなく、御船を陸上で曳き回す形式へと変化したと考えられています。

5年ごとの開催となったのは1975年（昭和50年）に茨城県指定無形文化財に指定されてからです。それ以前は、陸上渡御による船の損傷が激しく、修繕費を捻出できた年のみ開催されていました。元々は地元の漁師の祭りでしたが、現在は「常陸大津の御船祭保存会」が実施主体となっています。

御船

御船は全長約14m、全幅約3m、重量約7t。元々は漁に使われていた漁船を使用していましたが、現在は祭り専用に建造された木造船を使用しています。御船は、祭り以外の期間は大津港内にある漁業歴史資料館「よう・そろー」に展示されています。

本祭りでは、神輿を乗せた御船に神職、水主衆、囃子方など約50人が乗り込みます。ソロバンと呼ばれる木枠を敷いた上を、20～30人が舷側に取り付き船を揺らしながら、約500人の曳き手が綱で曳いて滑走させます。

2012年（平成24年）の北茨城市教育委員会の調査によると、神輿を乗せた船が水上を渡御する祭りや、船に似せた山車を曳き回す祭りは全国に302件ありますが、漁船をそのまま陸上で曳くという祭りは他に例がありません。

参考文献

常陸大津の御船祭総合調査報告書（北茨城市教育委員会編 2015年）

関連項目

山車
日本の祭一覧

外部リンク

北茨城の祭・イベント - 北茨城市観光協会
いばらきの伝統文化 - 茨城県県民生活環境部生活文化課
茨城の文化財 - 茨城県教育委員会

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