幕末のスパシーボ

幕末のスパシーボ

1997年に公開されたアニメーション映画『幕末のスパシーボ』は、激動の幕末時代を舞台に、日露の交流と人々の友情を描いた作品です。文部省選定・外務省推薦も受けています。

概要

本作は、ペリー来航後の日本に訪れたロシア軍艦ディアナ号と、それに関わる人々の物語です。政治的な駆け引きや文化の違いを超え、困難な状況下で育まれる人間同士の絆を描いています。斉藤斗志二衆議院議員が製作総指揮を務め、日露友好の象徴として製作されました。公開後には、当時の橋本龍太郎総理大臣からエリツィン大統領に「日露友好の証」としてVHSが進呈されています。

ストーリー

物語は、ペリー率いるアメリカ艦隊の来航により鎖国を終えた日本に、プチャーチン率いるロシア軍艦「ディアナ号」が来航するところから始まります。国交樹立を求めるプチャーチンに対し、幕府は川路聖謨を全権代表として交渉に当たらせます。しかし、交渉は難航し、平行線を辿ります。

そんな中、安政東海地震が発生し、大津波が伊豆を襲います。ロシア人たちは危険を顧みず、日本人たちの救助に奔走しますが、「ディアナ号」は大きな損傷を受けてしまいます。川路はプチャーチンに戸田村での修理を許可しますが、ディアナ号は嵐で座礁、沈没してしまいます。

宮嶋村の村民たちは、幕府の禁令を無視し、沈没するディアナ号からロシア人たちを救出します。川路は沈没したディアナ号の代わりとなる洋式帆船の建造を決意し、戸田村の船大工・緒明嘉吉に依頼します。嘉吉たちはロシア人たちと共に帆船造りを始め、言葉や文化の壁を乗り越え、交流を深めていきます。嘉吉の息子である菊三郎ら子供たちも、ロシア人たちとの交流を楽しみます。

そして、日本初の本格的な洋式帆船が完成し、別れの時が訪れます。プチャーチンは、感謝の思いを込めて、その船を「ヘダ号」と名付けました。

登場人物

川路聖謨: 勘定奉行。日露交渉の日本側全権代表。柔軟な思考とユーモアを持ち合わせる。
プチャーチン: 海軍中将。日露交渉のロシア側全権代表。厳格だが、非を認める紳士的な人物。
緒明菊三郎: 嘉吉の息子。ロシア人との交流を楽しむ。
太田波: 戸田村の名主の娘。ロシア人ミハイオフに恋心を抱く。
緒明嘉吉: 菊三郎の父。腕利きの船大工。
上田寅吉: 嘉吉の友人。戸田村の大工たちのまとめ役。
重蔵: 宮嶋村の長老。ディアナ号からのロシア人救出を指揮。
モジャイスキー: ロシア人士官。帆船の設計を担当。

スタッフ

監督: 出崎哲
音楽: 中島優貴
* アニメーション制作: マジックバス

『幕末のスパシーボ』は、歴史的な出来事を背景に、人々の心の交流を描いた感動的なアニメーション作品です。困難な状況下でも希望を捨てず、互いを理解し助け合うことの大切さを教えてくれます。

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