ディアナ号

ディアナ号

ディアナ号とは、ローマ神話の女神ディアナにちなんで名付けられた、複数の船や艦の名前です。特に有名なのは、19世紀にロシア海軍が保有した2隻の軍艦でしょう。

ディアナ（スループ）

1807年に建造されたロシア軍艦ディアナ号は、スループに分類される帆[[船]]でした。艦長ヴァシーリー・ゴロヴニーンの指揮のもと、1807年には世界一周航海を敢行しています。

1811年、千島列島の測量航海中に、ゴロヴニン艦長が国後島で幕府役人に逮捕されるという事件が発生します（ゴローニン事件）。これに対し「ディアナ」は、報復として日本船「観世丸」を拿捕し、高田屋嘉兵衛を拘束しました。1813年、ディアナ号副艦長ピョートル・リコルドの尽力により、ゴローニンは解放されています。

ディアナ（フリゲート、1853年）

1853年に建造されたディアナ号は、フリゲートに分類される帆[[船]]です。1854年（安政元年）には、日露和親条約締結交渉のため、エフィム・プチャーチンの乗艦として箱館、大坂を経て下田港に寄港しました。

しかし、同年11月4日（12月23日）9時過ぎに発生した安政東海地震による津波で大破してしまいます。修理のため下田港から戸田港へ向かう途中、強い西風にあおられ、宮島村（現在の富士市）沖で沈没したと伝えられています。沈没地点は特定されておらず、富士市が田子の浦港付近を調査しましたが、発見には至っていません。この調査の様子は、1988年（昭和63年）に『ディアナ号沈船調査報告書』としてまとめられています。

プチャーチンは、乗員の帰国のため、アレクサンドル・モジャイスキーらの指導のもと、日本の造船工に帆[[船]]「ヘダ号」を建造させました。この出来事は、日本の造船工に洋式造船技術が伝わるきっかけとなりました。

ディアナ号の錨は2つありましたが、そのうち1つは1954年（昭和29年）に引き上げられ、沼津市戸田造船郷土資料博物館に資料とともに展示されています。もう1つの錨は1976年（昭和51年）に引き上げられ、富士市五貫島の三四軒屋緑道公園でプチャーチン像と共に展示されています。

ディアナ号本体の引き上げ計画は、1970年代までに何度か立てられましたが、沈没箇所と思われる付近の海底に大量のヘドロが堆積しているなど、状況が芳しくなく、実現には至っていません。

その他のディアナ号

ディアナ（防護巡洋艦、1897年）
ディアナ（通報艦、1939年）：第二次世界大戦前にイタリア海軍が建造

関連書籍

望月昇『プーチャーチンの錨』（1978年7月、SDC出版部）
清水達也、斎藤博之『海にむすぶきずな―ディアナ号と戸田号のものがたり』（1982年12月、岩崎書店）
奈木盛雄『駿河湾に沈んだディアナ号』（2005年1月、元就出版社）ISBN 978-4-86106-020-5

関連項目

飛び出せ!科学くん - 番組内の企画で駿河湾にて沈没船らしき物体が発見され、1853年建造のディアナ号をテーマとした特集が組まれた。
en:Diana (ship))
en:HMS Diana
* en:Diana (1840 ship))

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