平公 (晋)

平公の治世とその影響

平公（へいこう、生年不明 - 紀元前532年）は、中国春秋時代の晋の君主であり、在位期間は紀元前557年から紀元前532年にわたります。彼の本名は彪で、姓は姫です。平公は非常に若い年齢で君主となり、賢臣である羊舌肸（叔向）や荀偃（中行偃）の助けを得て晋の覇権を維持しました。彼の治世は大きな過失もなく、安定したものでした。

平公は晋の悼公の子として誕生し、紀元前558年11月に悼公が亡くなると、彼が晋の公として即位しました。平公の即位により、晋は再び安定した時代を迎えることとなりました。彼の治世において、特筆すべき出来事として紀元前557年の湛阪の戦いがあります。平公は荀偃を将として、楚に対して侵攻し、見事な勝利を収めました。これは、彼の軍事的才能の片鱗を見せるものでした。

更に、紀元前555年には斉との戦争を行い、霊公を打ち破り、臨淄まで攻め込みました。しかし、翌年には帰国の途中で正卿の荀偃が亡くなるという不運もありました。このような中、平公は政治的な安定を図ろうとしましたが、欒盈（欒懐子）を排除しようとする動きが若干の混乱を招くこととなりました。

欒盈はその後、国外に逃げていましたが、後に戻ってきて反乱を起こしました。彼の軍は瞬く間に都・絳に侵入し、平公は自殺を試みますが、彼の忠臣である士鞅（范献子）がそれを止めました。この叛乱は最終的に士匄（范宣子）によって鎮圧され、欒氏の一族は滅ぼされました。

紀元前548年には士匄が亡くなった後、趙武が正卿に就任します。趙武は羊舌肸の助言をしっかりと聞き入れ、徳をもって国を治めたため、晋は再び栄えました。さらにその後の韓起の正卿の時代になっても、この流れは続きました。

紀元前546年には、平公が宋で「弭兵の会」を開き、このとき初めて南方の大国・楚との和平が成立しました。紀元前544年には呉の賢者である季札が晋を訪れ、晋の政権は趙・魏・韓の三家に帰属するとの予言を行いました。

一方で、平公は自身の身近な人々の間で争いが生じていることを懸念しました。彼は羊舌肸に秦の使者の接待を任せた際、子朱との間で意見が対立したことを耳にし、晋の繁栄に対して危機感を抱きました。彼は、その争いが国政に重大な影響を与えると感じつつも、側近の師曠からは「公室はおそらく衰退する」との厳しい見解を受けました。

最終的に、紀元前532年7月戊子、平公はその治世を終え、彼の子である昭公が後を継ぎました。平公の業績や彼の治世は、その後の晋の歴史において大きな影響を与えることとなりました。彼の治世は、春秋時代の政治的景観を豊かにした重要な期間であったと言えるでしょう。

もう一度検索