平和の森公園 (中野区)

中野区立平和の森公園は、東京都中野区新井に位置する公立公園です。この場所は、かつて中野刑務所として利用されていました。全国に同名の公園が存在しますが、これらは中野区立平和の森公園とは直接的な関連を持ちません。

公園の成り立ちと歴史

この地は、1910年に市谷から豊多摩刑務所（後に中野刑務所と改称）が移転して以来、刑務所として機能していました。特に、治安維持法に抵触した政治犯や思想犯が多く収容されていた歴史があります。都市化の進展や周辺環境の変化に伴い、1975年に刑務所の廃止が決定され、その跡地利用が課題となりました。広大な敷地の一部は、地域住民の憩いの場として公園に生まれ変わることになり、1985年10月1日に平和の森公園として一部が開園しました。公園の整備と並行して、1995年には隣接地に東京都下水道局中野水再生センター（下水処理施設）が完成しています。かつての刑務所敷地内には、法務省矯正研修所東京支所も隣接していましたが、こちらは昭島へ移転しています。しかし、旧中野刑務所の正門は、かつての矯正研修所東京支所の敷地内に今も保存されています。

再整備計画と論争

開園から時を経て、公園の再整備計画が持ち上がりました。2016年に基本設計がまとめられ、2017年11月には再整備工事が開始されました。再整備の大きな目玉の一つとして、2020年10月には中野区立総合体育館が完成しました。

この再整備計画を巡っては、大きな論争も巻き起こりました。2015年には、公園内に体育館と陸上競技場を新設する改修案が当時の区長から発表されました。しかし、計画地の立木伐採が始まった2018年には、公園の価値が低下するなどを理由に、住民による訴訟が提起されました。同年に行われた区長選挙では、この公園改修計画が争点の一つとなり、計画見直しを訴えた候補者が当選しました。新しい区長は住民説明会などを通じて陸上トラックの設置を取り下げる変更案を策定し、区議会に提案しましたが、僅差で否決されました。これにより、区長は当初の計画通りに改修工事を進める方針を表明しました。

主な施設と利用

再整備後の公園には、多目的運動広場や中野区立総合体育館などが主要な施設として整備されています。体育館は、地域のスポーツ活動の拠点となっています。公園の敷地面積は、2005年5月時点で54,658.99平方メートルという広さを誇ります。

再整備着手前は、広々とした芝生広場や野球場、さらには当地から発見された弥生時代の竪穴建物が復元された遺構展示、平和について学ぶことができる資料展示室なども設けられていました。これらの施設は、公園の歴史や文化的な側面を伝える役割も担っていました。

公園は常時開園しており、入場は無料です。ただし、多目的運動広場などの特定施設の利用には事前の問い合わせが必要となる場合があります。かつては、中野区内の幼稚園や保育園、小学校の運動会会場としても利用され、地域住民の多様なイベントにも活用されていました。

アクセス

平和の森公園へのアクセスは、西武新宿線沼袋駅からは徒歩約3分、JR中野駅からは徒歩約17分と、公共交通機関での来園が比較的容易です。

歴史的な背景を持つ広大な敷地が、スポーツ施設や多様な広場を持つ都市公園として活用され、地域住民の活動拠点となっています。再整備を巡る議論はありましたが、公園は新たな姿で地域に貢献し続けています。

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