平均誤差半径

平均誤差半径（CEP）とは何か？

平均誤差半径（CEP: Circular Error Probability）は、ミサイルや爆弾などの射撃兵器の命中精度を表す指標です。日本語では「半数必中界」「半数命中半径」などとも呼ばれますが、CEPは単に弾が円の中心にどれだけ集まっているかを表す指標であり、必ずしも「半数」が円の中に入ることを意味するわけではありません。

CEPは、平均弾着点を中心とした円の中に、弾着点が50%の確率で収まる円の半径として定義されます。この円を「50%確率円」と呼びます。弾着点が円形正規分布に従うと仮定した場合、CEPは標準偏差σとの間に、CEP = 1.1774σ の関係があります。

つまり、CEPが小さければ小さいほど、弾着点が目標の中心に集中していることを示し、命中精度が高いことを意味します。ただし、CEPはあくまで散布の広がりを表す指標であり、必ずしも命中確率そのものを直接的に示すものではありません。

CEPの誤解

CEPについて、よくある誤解が2点あります。

1点目は、CEPが「ちょうど半分」の弾着点が円内に収まることを意味する、という誤解です。「半数必中界」という訳語から誤解されがちですが、CEPは射距離や方向などの公算誤差から算出される理論値であり、実際の弾着点が円内にちょうど半分収まるかどうかは本質的ではありません。あくまで、最も確率の高い状態として、50%の確率で円内に収まる半径を表しているのです。

2点目は、CEPと命中確率を混同することです。CEPは弾の散布状況を表す指標である一方、命中確率は複数の射撃を前提とした概念です。例えば、CEPが小さくても、目標が小さすぎたり、複数発の弾丸が必要な状況では、命中確率は低くなる可能性があります。逆に、CEPが大きすぎると、目標に命中する確率が低くなることは容易に想像できるでしょう。また、CEPが小さすぎる場合、弾の種類や運用方法によっては、目標への有効性が低下する可能性も考えられます。

楕円形の散布の場合

榴弾砲など、射弾の誤差が円形正規分布に従わない場合、つまり2変数の分散が異なる場合は、等確率密度の曲線は楕円になります。このような場合でも、CEPという用語が用いられることがありますが、この場合は円ではなく楕円を用いて同様の考え方で計算が行われます。

まとめ

CEPは、ミサイルや爆弾などの兵器の命中精度を評価するための重要な指標です。しかし、CEPは命中確率そのものではなく、散布の広がりを表す指標であることを理解することが重要です。また、CEPの値の解釈には、目標の大きさ、弾の種類、運用方法なども考慮する必要があります。CEPの値だけを見て、兵器の性能を判断することは適切ではありません。 正確な評価のためには、CEP以外の要素も考慮することが不可欠です。

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