平塚原の戦い

平塚原の戦い

平塚原の戦い（ひらつかはらのたたかい）は、戦国時代元亀元年（1570年）の10月20日（諸説あり）に、常陸国新治郡平塚原（現在の茨城県つくば市）で行われた重要な戦闘です。この戦いは、常陸の小田氏治と下総の結城晴朝の間で繰り広げられました。この戦闘は、平塚合戦とも呼ばれることがあります。

合戦前の背景

常陸の小田氏と下総の結城氏は、関東における主要な名族として知られ、歴史的に敵対関係にありました。両氏は鬼怒川を挟んで領土が接し、過去において海老ヶ島の戦いや結城城の戦いなど、数度の戦闘を繰り返してきました。この時期、常陸の北部には佐竹氏があり、南部には小田氏がありますが、佐竹氏が力を強めていく一方で、小田氏は挟撃を受けるなどして徐々に衰退していました。この状況を見た結城晴朝は、小田氏の領土へ進攻する絶好の機会と考え、小田氏治に攻撃を仕掛けることを決定しました。

戦闘の経過

元亀元年の8月13日、結城晴朝は結城城を出発し、鬼怒川を渡って下妻城主の多賀谷政経を先頭にして小田の領地に侵入しました。結城軍は一手に石毛、豊田城へ向かった後、本隊は八木原から水守を経て進軍しました。大曾根では小田方の守備兵が抵抗するも追い落とされ、結城軍は次々と敵を撃破しながら進軍を続けました。結城軍の一部は酒生に本陣を設け、戦闘の準備を整えました。

小田勢は、小田氏治の指揮の下で平塚原に集結し、結城勢との対陣を始めました。苅間城の野中瀬左衛門入道鈍斉や、上ノ室城主の吉原越前、大津長門を含む軍勢が合流し、激しい乱戦が繰り広げられました。戦闘は双方が実力伯仲していたため、一日での決着はつかず、最終的に日が暮れたことから両軍は一時退却します。

その後、結城軍は兵力で優位な状態に立ち、次の日も戦闘が続くことになりましたが、小田勢は逆襲の機会を狙いました。小田氏治の軍は、結城軍が油断している隙を突き、暗闇の中で夜討ちを決行することを計画します。小田勢は不意を突く形で結城軍の本陣に攻撃を仕掛け、火を放つことに成功しました。これにより、結城軍は驚き、急速に退却を余儀なくされます。結城の高田に陣を構えていた多賀谷政経も駆けつけましたが、小田側の伏兵に遭遇し、さらに大きな敗北を喫する結果となりました。

戦いの影響

平塚原の戦いは、小田氏治の戦力を再確認させる大きな結果となり、関東の大名たちにその強さを示すこととなりました。小田氏治はそれまで、上杉謙信や佐竹義重の攻撃に晒され、厳しい情勢にあったものの、この勝利によって意気を取り戻し、その後20年以上にわたって佐竹義重に対抗していくこととなります。この戦いは、小田氏の後の歴史においても重要な転機をもたらしました。

備考

『東国戦記実録』ではこの合戦の日付を10月20日としているものの、8月13日に出陣したこととの時間的な隔たりから、疑問視する意見も存在します。また、酒生は現在の酒丸として知られる場所に位置しています。

参考文献

• - 小丸俊雄『小田氏十五代―豪族四百年の興亡〈下〉』崙書房〈ふるさと文庫―茨城〉、1979年3月。

もう一度検索