平安時代史事典

平安時代史事典概要

『平安時代史事典』は1994年に発刊された平安時代に特化した総合大事典で、平安京遷都1200年を祝う目的で制作されました。編集を担当したのは古代学協会と古代学研究所で、監修を角田文衞氏が手がけています。本書は全3巻から成り、平安時代の多様な側面を網羅しています。

出版背景

この事典は、約400年にわたる平安時代の歴史を解明し、各分野の専門家によって執筆された内容を集約しています。特に、政治、経済、社会、宗教、文芸、美術工芸、風俗、地名、書名に関する事項が詳述されています。また、王朝の歴史と密接に関連する動植物や自然現象についても情報が提供されているため、平安時代に興味がある方には非常に魅力的な内容となっています。

特徴

本事典の特筆すべき点は、約2万1000の項目から成る膨大な情報量にあります。人名についても特に女性名に配慮がなされ、これまでにない多くの名前が訓読みで収録されています。たとえば、一条天皇の中宮である藤原彰子は、通常の読み「ふじわらのしょうし」ではなく、事典では「ふじわらのあきこ」として立項されています。このように、既存の資料では見られないユニークな取り組みが行われています。

執筆者

執筆には、各分野の専門家が選定され、総勢約1000名が参加しています。各項目には責任著者の名前が記載されており、より信頼性の高い情報提供がなされています。また、関連する研究分野における論文や文献も参考文献として取り入れられているため、研究者や愛好者にとって有用な資料となっています。

付属資料

また、別巻には索引のほか、平安宮内裏図や平安京条坊図などの多くの地図や、有職故実に関する図録、天皇や女院、斎宮、後宮に関する表、文化財の一覧なども掲載されています。これらの資料は、平安時代をより深く理解するためのサポートとなります。

書誌情報

書誌情報として、元の出版は角川書店から1994年4月にリリースされたもので、ISBNは978-4-04-031700-7です。書名はB5判函入りで、上巻は「ア〜ソ」、下巻は「タ〜ヲ」に分かれており、それぞれ1436ページ、1437ページから2777ページまでの内容で構成されています。別巻もあり、資料や索引編が550ページにわたります。また、事典の情報をデジタル形式で提供するCD-ROM版も2006年にリリースされています。

結論

平安時代史事典は、その詳細な情報と広範な視点から、平安時代の理解を深めるための貴重な資料と言えるでしょう。歴史研究や文化研究を行う際の重要な参考文献として、多くの人々に親しまれています。

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