平成16年台風第21号

平成16年台風第21号（アジア名：メアリー）

2004年9月に発生した台風21号は、日本に上陸し、記録的な豪雨と甚大な被害をもたらした台風です。アジア名は「メアリー（Meari）」で、これは命名国の北朝鮮が「やまびこ」という意味を込めて名付けました。

台風の経路と特徴

9月22日にグアム島西方海上で発生後、台風は発達しながら北西に進み、沖縄に接近しました。沖縄近海では動きが停滞し複雑な進路を取りましたが、その後北東へ進路を変え東シナ海を通過。9月29日午前8時半頃、中心気圧970ヘクトパスカル、最大風速30m/sの勢力で鹿児島県串木野市付近に上陸しました。

台風は九州から四国地方を暴風域に巻き込み、同日午後には高知県宿毛市、さらに午後8時半頃には大阪府大阪市に再上陸。近畿地方から北陸、東北地方へと進み、9月30日には宮城県気仙沼市から三陸沖へと抜け、温帯低気圧に変わりました。

甚大な被害状況

台風21号は、沖縄県から東北地方にかけて広範囲に被害をもたらしました。特に被害が大きかったのは三重県で、宮川村では大規模な斜面崩落が発生し、土砂災害により7名が犠牲となりました。愛媛県新居浜市でも4名が死亡するなど、全国で26名が死亡、1名が行方不明となる甚大な被害となりました。

愛知県の伊勢湾沿岸地域（美浜町から南知多町にかけて）には、大量の流木（約2万2000m3）が漂着しました。

死者: 26名
被害総額: 210億円

その他の被害

佐用川の氾濫：台風21号による豪雨で佐用川が氾濫し、その5年後の台風9号でも同じ場所で再び氾濫が発生しました。
永世橋の流出：大分県の八坂川にかかる日本最古の沈下橋であった永世橋が流出し、現存する日本最古の沈下橋は龍頭橋となりました。
市倉ファームの被害：愛媛県西条市の市倉ファームでは土石流が発生し、メインの建物が崩壊、敷地の半分が土砂に埋もれる被害を受け、半年間の休園を余儀なくされました。石鎚芸術村チロルの森も同様に被害を受け、整備のため休園しました。
三瀬谷ダムの被害：三重県大台町の三瀬谷ダムでは、発電管理事務所と発電所が水位上昇により水没し、全ての機器が使用不能となる壊滅的な被害を受けました。

関連情報

台風第21号と秋雨前線に伴う大雨について (PDF) - 国土交通省
デジタル台風：台風200421号（MEARI）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
* 2004年　台風21号 - NHK災害アーカイブス

台風21号は、その後の災害対策に大きな影響を与えた出来事として、記憶されるべき教訓を多く含んでいます。

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