平成23年台風第6号

平成23年台風第6号（アジア名：マーゴン）について

2011年7月に発生した台風6号は、非常に複雑な動きをした台風として記録されています。この台風は、統計史上7月としては最強クラスの勢力にまで発達し、日本各地に大きな被害をもたらしました。その特異な進路と、各地に及ぼした影響について詳しく見ていきましょう。

台風の発生と特徴

7月12日、南鳥島近海で発生した熱帯低気圧が台風6号となり、「マーゴン（Ma-on）」と命名されました。この名前は香港によって付けられ、山の名前に由来します。また、フィリピンでは「イネン（Ineng）」と呼ばれました。台風は急速に発達し、15日には大型で非常に強い勢力に、16日には超大型の台風へと成長しました。このため、台風の中心から離れた地域でも高波が発生し、海での事故が多発しました。

特筆すべきは、台風の進路です。一度日本に接近・上陸した後、通常はそのまま北上するところを、この台風は一旦南下し、その後再び北上するという非常に珍しい動きをしました。このため、小笠原諸島では一度通過した台風が約1週間後に再び接近するという異例の事態が発生しました。

気象状況

大雨

台風の接近に伴い、17日から東海地方で雨が降り始めました。特に19日から20日にかけては、台風がもたらした暖かく湿った空気の影響で、東海地方や関東甲信地方で記録的な大雨となりました。17日18時から21日24時までの総降水量は、これらの地域の一部で500mmを超え、長時間にわたり台風の影響を受けました。

1時間雨量

神奈川県箱根町（箱根）：80.5ミリ（7月19日16時33分まで）
三重県大台町（宮川）：74.0ミリ（7月19日22時46分まで）

24時間雨量

三重県大台町（宮川）：801.0ミリ（7月20日2時40分まで）
静岡県静岡市葵区（井川）：537.0ミリ（7月20日4時10分まで）

特に三重県大台町（宮川）と静岡県静岡市葵区（井川）では、観測史上最大となる雨量を記録しました。

日降水量

三重県大台町（宮川）：764.0ミリ（7月19日）
静岡県静岡市葵区（井川）：527.5ミリ（7月19日）

これらの地域では、日降水量も観測史上最大を更新しました。

暴風

東海地方の沿岸部や伊豆諸島では、非常に強い風が吹き荒れました。三重県津市津では24.6m/s、東京都三宅村三宅島では23.8m/sの最大風速を観測しました。

最大瞬間風速

三重県津市（津）：33.2m/s（7月19日11時27分）
静岡県南伊豆町（石廊崎）：30.6m/s（7月21日9時11分）

最大風速

三重県津市（津）：24.6m/s（7月19日11時30分）
東京都三宅村（三宅島）：23.8m/s（7月21日9時41分）

影響と被害

台風による高波や強風、大雨の影響で、各地で甚大な被害が発生しました。特に海での事故が多発し、多くの方が亡くなったり、行方不明になったりしました。

人命被害

沖縄県：2名死亡、1名重体
愛知県：1名死亡
三重県：1名死亡、1名行方不明
神奈川県：1名行方不明
茨城県：1名行方不明
宮崎県：1名重体
高知県：1名死亡
三重県伊賀市：1名死亡

住家被害

半壊：1棟
一部破損：31棟
床上・床下浸水：150棟

局地激甚災害指定

政府は、特に被害が大きかった高知県安芸市、北川村、梼原町、三重県大台町、和歌[[山県]]新宮市、白浜町などを局地激甚災害に指定しました。

新燃岳関連

宮崎県都城市では、新燃岳周辺に住む住民に対し、土石流の危険性があるとして避難勧告が出されました。

福島第一原子力発電所事故関連

福島第一原子力発電所では、3号機タービン建屋の屋根を鉄板で塞ぐ対策が行われました。

交通機関への影響

JR四国：全線で運行停止
東海道新幹線、関西本線、北陸本線：一部区間で運転見合わせ
航空・フェリー：ダイヤの乱れ
高速道路：東名高速道路の一部区間が高潮で通行止め、中央自動車道の一部区間が大雨で通行止め

また、和歌[[山県]]新宮市では、熊野古道の「大雲取越えルート」が崩落する被害も発生しました。

農林漁業への被害

各地で農林漁業に大きな被害が出ました。特に、以下の地域で被害額が大きくなりました。

徳島県：農業被害額約10億円（レンコン被害が最も大きい）
高知県：農業被害額約4億2千万円（ショウガ被害が最も大きい）
香川県：約1億2900万円（モモ、柿の落下など）
宮崎県：約5億6480万円（葉タバコ被害が最も大きい）
大分県：約9600万円（タバコ被害など）
和歌[[山県]]：約16億6227万円（林業、農地、養殖マグロなど）
三重県大台町：約1億8900万円
高知県北川村：約9600万円
高知県梼原町：約6000万円
和歌[[山県]]新宮市：約4000万円
和歌[[山県]]白浜町：約3600万円

公共土木施設への被害

香川県：与田川護岸崩壊などにより約7800万円の被害
高知県安芸市：約10億1000万円の被害
高知県三原村：約1億6000万円の被害
高知新港：防波堤が8.9メートル移動

スポーツへの影響

7月19日、[小松島競輪場]]の記念[[競輪]が6レース以降打ち切りとなり、決勝戦は実施されませんでした。

まとめ

平成23年台風第6号は、その特異な進路と猛烈な勢力で、日本各地に甚大な被害をもたらした台風でした。この台風の教訓を活かし、今後の災害対策に役立てていく必要があります。

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