平成24年台風第4号

平成24年台風第4号（グチョル）

平成24年（2012年）の台風第4号、通称グチョルは、6月12日にカロリン諸島附近で発生しました。日本国内では特に大きな影響を及ぼし、各地に大雨や強風をもたらしました。ミクロネシアによって名付けられたグチョルは、フィリピンではブッチョイという名前で呼ばれています。この台風は、発生から日本に上陸するまでの間に急速に勢力を増し、最大風速は35m/sに達しました。

台風の進行と上陸

台風は最初、太平洋を西に進み、フィリピン東岸に差し掛かると北に進路を変えました。南西諸島の東岸を通過しながら、時速65〜70kmの速さで進んでいきました。6月19日午後5時、和歌山県南部に上陸し、上陸時の中心気圧は960hPa、最大風速は35m/sに達しました。この強さは、1951年以降の統計において6月の上陸台風の中では最も強力なものでした。

その後、台風は志摩半島を通過し、一度伊勢湾海上に抜けるものの、同日午後8時には愛知県東部に再上陸しました。6月20日の午前9時には、福島県双葉町から太平洋上で温帯低気圧へと変わりましたが、その後も前線が大雨を引き起こしました。この前線は、先に発生していた温帯低気圧に伴っていたもので、日本各地に影響を及ぼしました。

気象状況と降水量

台風の影響を受けた6月19日から20日までの間に、多くの地域で200mmを超える降水量が観測されました。特に三重県多気郡大台町では405.5mm、静岡県伊豆市の天城山では363.0mmの降水量が記録されました。これらの降水量は、各地で6月としての極値を更新しています。

風速も非常に強く、東京都三宅村坪田で29.3m/s、千葉県千葉市で最大瞬間風速38.1m/sを記録しました。これらの数字は、6月の記録としても新たなものとなります。

被害状況

台風の影響によって、静岡県沼津市では建物が倒壊し、1人が死亡、79人が重軽傷を負うといった被害が発生しました。住宅被害は全国各地に見られ、茨城県では全壊1棟、兵庫県で半壊1棟、群馬県で一部損壊115棟、浸水被害も多数報告されました。

フィリピンへの影響

フィリピンでは、46人乗りの船舶M/V Josilleが沈没し、5人が死亡、19人が行方不明になりました。この事態に対処すべく、フィリピン政府は被害を最小限に抑えるための措置を講じました。

日本における影響

日本国内でも台風の影響は広範囲に及びました。6月20日には東京都武蔵野市で倒木があり、ニホンリスが脱走する事件が発生しました。また、台風による突風の影響で航空機に事故も発生しました。成田空港に着陸する全日本空輸の便が、気流の乱れで地面に激しくバウンドし、機体に損傷を及ぼしました。

台風の通過後、静岡県では大規模な停電も発生しました。これらの出来事は、台風の持つ影響力の大きさを改めて示すものであり、改めて自然の驚異を認識させられる結果となりました。

台風グチョルは、その被害や影響の大きさから、記憶に残る自然災害として歴史に名を刻みました。

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