平林久和

平林 久和（ひらばやし ひさかず）氏は、1962年11月24日生まれの日本の実業家です。神奈川県出身で、神奈川県立小田原高等学校を経て青山学院大学経済学部を卒業しました。

キャリアは1985年に株式会社JICC（現在の宝島社）への入社から始まりました。同社のゲーム雑誌『ファミコン必勝本』編集部に所属し、当時革新的だった産業ニュースのコーナーを一人で担当。取材から執筆まで一手に手掛けました。また、ベニー松山氏が手掛けた『小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』の連載および単行本化を担当した人物としても知られており、これはゲームソフトを基にした小説化の先駆的な事例の一つとなりました。

1991年には独立し、株式会社インターラクトを設立。同社の代表取締役に就任しました。独立後、平林氏はライター・ジャーナリストとしての活動を本格化させます。雑誌や新聞など多岐にわたる媒体に記事を寄稿し、特に1994年には日本工業新聞において、新聞史上初となるゲームコラムの日刊連載を開始しました。

ジャーナリスト活動と並行して、ゲームソフトメーカー、出版社、広告代理店、教育機関、法律事務所、さらには各種公共機関など、幅広いクライアント向けのアナリストレポート執筆や、ゲーム関連企業に対するアドバイザー業務、人材開発プログラムの開発、各種講演活動など、多角的なビジネスを展開しています。

ゲーム産業に関する専門知識を活かし、2000年にはゲームソフトの売上データを定量的に分析するシンクタンクである株式会社ディータンクを設立し、取締役に就任（現職）しています。また、2007年には当時存在したゲーム会社セタの取締役に就任し、同年7月には社長に昇格しましたが、2008年に同社代表取締役を退任しています（セタは2009年に倒産）。

2012年には、コピーライター・クリエイティブディレクターの小霜和也氏、株式会社kazepro代表の戸練直木氏と共に合同会社ヘルプボタン（HelpButton.LLC）を設立しています。その他の活動としては、インターネットラジオ番組「水口哲也と平林久和の東京ゲームラウンジ」で2年以上にわたりパーソナリティを務めたほか、株式会社マリーガル・マネジメント社の契約プロデューサーとして『DT』などのプロジェクトに携わった経験もあります。学術的な分野にも造詣が深く、西洋美術史に精通しており、CGを学ぶ学生向けの講義なども行っています。また、財団法人デジタルコンテンツ協会の『デジタルコンテンツ白書』編集委員を務めるなど、業界の啓蒙・発展にも貢献しています。

私生活では、スタイリストおよびファッション・コーディネーターとして活躍する河井真奈氏を妻に持ち、フジテレビの映画プロデューサーである河井真也氏は義弟にあたります。

一方で、メディア上での発言が注目を集めることもあります。2012年3月31日には、Googleとスクウェア・エニックスの共同企画である『ファミコン版 Google マップ 8 ビット』について、著作権表示があるにも関わらずスクウェア・エニックスの未許諾であると誤認し、「業績が良い企業が歴史に傷をつけているようで、侮蔑的」と批判的な見解を示しました。また、同年8月31日には、週プレニュースサイト上のインタビューで、オンラインゲーム『ドラゴンクエスト10』の内容について、「発売初日からサーバーがダウンした」「モンスターとのバトル中に別のプレイヤーに横取りされ、経験値を奪われる」など、実際のゲームには存在しない要素を挙げて批判を展開しました。これらの発言はインターネット上で強い非難を浴びました。平林氏自身は、これらの誤りについて、自身にも一部責任があるとしつつも、記事を執筆したライターにも責任があるとの考えを示しています。

主な著作としては以下のものがあります。

ゲームクリエイター&ゲーム会社就職志望者のためのゲーム業界就職読本（1992年～2001年度版、アスキー）
本当に面白いゲームソフト（ぴあ）
新世代ゲームビジネス（日経BP社）
ゲームの大學（メディアファクトリー）
ゲームの時事問題（アスペクト）
ビジネス人生論 なぜ、泣ける男は成功できるのか?（誠文堂新光社）

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