平林岳

平林 岳（ひらばやし たけし）

平林岳は、1966年に兵庫県で生まれた野球審判員で、日米のプロ野球での経験を持つ実力者です。特に2012年からは、日本プロ野球（NPB）の審判技術委員として、今の職務であるスーパーバイザーに就任しています。

経歴

平林は幼少期から野球選手の夢を抱いていましたが、14歳の時、自身の能力の限界を感じ、進路を変更します。当初の夢を捨て、プロ野球審判になる決意を固めました。その後、千葉県立柏高等学校を経て國學院大學法学部での学びと共に、野球を続けつつも審判技術に専念しました。しかし、大学卒業後に受けたセ・パ両リーグの審判テストでは、視力が基準に達せずに不合格となります。

1992年、平林は渡米し、ジム・エバンス審判学校に入学します。この学校を経て、彼は日本人初のアメリカ野球審判としてルーキーリーグでの審判をスタートしました。そのまま1993年にはノースウエストリーグで活動し、同年にはパシフィック・リーグからのスカウトを受けて帰国し、東京審判部に加わりました。彼の審判袖番号は37です。

パ・リーグで順調にキャリアを積む中で、平林はアメリカの野球審判に強く影響を受けました。2002年シーズンが終わると、彼は一度退局し、再び渡米してジム・エバンス審判学校に通います。再入学後、彼は見事に合格を果たしますが、アメリカ同時多発テロの影響でビザの発給が遅れました。結果として、2005年にようやくアメリカの野球界に復帰しました。

2007年、ミッドウェストリーグ（クラスA）の審判を担当し、オールスターゲームでは球審として的確なジャッジを行いました。さらに、同年7月にはアドバンストAのカリフォルニアリーグに昇格し、2008年にはサザンリーグ（ダブルA）で数試合をクルーチーフとして担当します。

2009年4月には、日本人初のトリプルA・インターナショナルリーグに昇格し、そこでのデビューが果たされました。これにより、平林は日本人として初めてトリプルA以上の舞台に立つこととなり、野球界史上初の快挙を達成したのです。デビュー戦はオハイオ州トリードの球場で行われ、地元メディアでも大きく報じられました。

2010年には、トリプルAパシフィックコーストリーグに所属し、メジャーリーグのスプリングトレーニングで日本人初の試合ジャッジを行う栄誉に浴しました。しかし、2011年には身体的な問題と金銭的困難からメジャーリーグ挑戦が危ぶまれるも、引き続き3A審判として活動を続けましたが、シーズン終了後に解雇通告を受けました。

その後、2012年からNPBの審判技術委員として新たなキャリアに挑戦し、以降も役職が変遷しましたが、今なおその経験を生かしています。

人物

平林は、1999年に松坂大輔（当時西武ライオンズ）のプロデビュー戦で球審を務めたことが特に有名です。また、彼の活躍ぶりは様々なドキュメンタリー映画に取り上げられ、特に『Samurai Umpires in the USA』は日本人監督によって製作され、広く知られることとなりました。

審判出場記録（NPB）

• - 初出場: 1995年4月4日、日本ハムファイターズ対オリックス・ブルーウェーブの試合（東京ドーム）
• - 出場試合数: 357試合
• - オールスター出場: なし
• - 日本シリーズ出場: なし（記録は2002年シーズン終了時）

書籍

平林は、以下の著書も発表しています。
1. 『パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す』 (光文社新書, 2007年)
2. 『サムライ審判「白熱教室』 (エル書房, 2011年)
3. 『サムライ審判―日本人初のメジャー・リーグ・アンパイアになる日』 (アスペクト, 2011年)
4. 『決定版! クイズでわかりやすい野球審判スキルアップ問題集』 (ベースボール・マガジン社, 2022年)

平林岳の野球界でのキャリアは、多くの挑戦と成就で彩られています。彼の活動は、日本とアメリカの野球審判の架け橋となり、多くの若手審判にも影響を与えています。

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