平清盛 (NHK大河ドラマ)

NHK大河ドラマ『平清盛』：平安時代の波乱と栄華、そして武士の夜明け

2012年1月8日から12月23日にかけて放送されたNHK大河ドラマ第51作『平清盛』は、平安時代を舞台に、平清盛の波乱に満ちた生涯と平家一門の栄枯盛衰を描いた作品です。大河ドラマシリーズ生誕50周年記念作品として制作され、2005年の『義経』以来となる平安時代物、そして1972年の『新・平家物語』以来40年ぶりの平清盛主役作として注目を集めました。

主人公の平清盛役には、松山ケンイチがNHK大河ドラマ初主演。源頼朝役で、大河ドラマ史上最年少の語り部を務めた岡田将生をはじめ、豪華キャストが時代劇を彩りました。前作『坂の上の雲』に続く通年放送作品でしたが、放送期間は12月までの通常放送に戻りました。

制作と放送

2010年8月4日の制作発表会では、従来の大河ドラマとは異なる試みとして、番組イメージビデオが公開され、NHKニュースでも一部が放映されました。松山ケンイチは制作発表で、「一族の絆を描く平安のゴッドファーザー」というテーマに惹かれたと語り、意欲的な姿勢を表明しました。

2011年8月19日には、東日本大震災発生後初のNHKドラマの大規模ロケとして、岩手県奥州市でクランクイン。さらに、被災者を招待した交流会も開催するなど、社会貢献にも配慮した制作体制がとられました。

作品構成と音楽

ドラマは、大きく3部に分かれています。第1部は清盛の育ての父である忠盛の死（第16回）まで、第2部は清盛が平氏一門の棟梁となって保元・平治の乱を経て公卿となるまで（第30回）を、そして第3部はそれ以降の清盛の生涯と平家の滅亡を描いています。オープニング映像も、各部に合わせて変化がありました。また、第7回からは、複雑な人物関係などを分かりやすく説明する「きょうの見どころ」コーナーが追加されました。

劇中音楽は、テレビドラマ初参加となる吉松隆が担当。「遊びをせんとや生まれけむ」という今様のメロディーが、ドラマ全体を貫くテーマとして用いられました。テーマ音楽には、舘野泉によるピアノソロと子役の歌唱が採用され、清盛の子守唄としても使用されました。吉松隆は、このメロディーの作曲に音声合成ソフトウェア「初音ミク」を使用するという斬新な試みも取り入れています。さらに、エマーソン・レイク＆パーマーの「タルカス」からの編曲や吉松隆の旧作も劇中で使用され、「タルカス」は新番組予告でも使われるイメージソング的な役割を果たしました。

時代考証と反響

本作では、皇室を表現する用語として「王家」を採用した点が、大きな話題となりました。時代考証を担当した本郷和人教授は、当時の言葉では「王家」「天皇家」という用語は使用されていなかったものの、現在の学界で市民権を得ている「王家」の呼称を採用するよう提案したと説明しています。しかし、この点についてはインターネット上で様々な意見が飛び交いました。

視聴率は低迷し、初回視聴率は17.3％と低調なスタートとなりました。特に、ロンドンオリンピック女子マラソン中継と重なった第31回は、最低視聴率となる7.8％を記録しました。全話平均視聴率は12.0％で、当時の最低記録となりました。しかし、低視聴率にもかかわらず、若い女性を中心に熱心なファンを獲得し、雑誌での特集なども組まれるなど、独特の評価を得ることになります。2016年にはTBSラジオの番組で実施されたリスナー投票で、歴代大河ドラマの中で1位を獲得するなど、その後の評価は高いものとなっています。

あらすじ

物語は、壇ノ浦の戦いで平氏が滅亡した後の鎌倉、源頼朝の視点から始まります。頼朝は、平清盛の生涯を振り返り、武士の世を築いた男の生き様に思いを馳せるのです。

ドラマは、武士が貴族から蔑まれていた時代から、清盛の出生の秘密、源氏との対立、保元・平治の乱、そして平家の栄華と滅亡まで、歴史の大きな流れを丹念に、そして細やかに描いていきます。清盛の複雑な人物像、平家一門の人間模様、そして彼らを取り巻く朝廷や貴族、武士たちの生き様は、視聴者に深い感銘を与えました。

まとめ

『平清盛』は、視聴率という点では必ずしも成功したとは言えませんが、歴史ドラマとしての高い完成度、緻密な時代考証、そして独特のテーマと音楽によって、多くのファンを獲得し、現在でも高い評価を得ています。時代劇ファンならずとも、一度は観ておく価値のある作品と言えるでしょう。

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