平潟湾

平潟湾の歴史と現状

平潟湾（ひらかたわん）は、神奈川県横浜市金沢区に位置する入り江で、その一部は横須賀市にも広がっています。湾の長さは約1キロ、幅は約0.3キロで、湾口には野島が存在します。この野島を通じて、南側の野島水路と北側の野島運河を介して東京湾と繋がっているのが特徴です。

歴史的背景

鎌倉時代、この湾は鎌倉の外港として重要な役割を果たしました。平潟湾の形状は古くから変わっており、現在の湾は過去と比べるとかなり狭くなっています。北岸の瀬戸や泥亀付近、西側の六浦方面はかつて広い入り江として知られていました。野島自体は平潟町に繋がる陸繋島で、南の夏島は特に夏島貝塚で有名です。また、江戸時代にはこの地域が景勝地として広まり、「金沢八景」の一つ「平潟落雁」としても知られました。

近代以降の変化

北側の入り江は江戸から明治にかけて埋め立てられ、新たに泥亀新田が形成されました。また、出口側の夏島方面も明治以降に埋め立てられ、横須賀海軍航空隊の設置につながりました。これは現在の日産自動車追浜工場などの設立にも影響を与えています。

1966年には、野島水路が土砂の堆積により閉鎖され、戦後の1945年には北側に野島運河が掘られました。埋め立ての進行は続き、湾の南側も1966年には埋め立てられて金沢区柳町となり、今の細長い湾が形成されました。

環境と水質改善

戦後の平潟湾は、周辺の河川（宮川、侍従川、鷹取川など）から流れ込む排水によって水質が悪化していました。しかし、1994年に野島水路が再開通したことで、湾の水質は徐々に改善されつつあります。これにより、かつての美しい景観が部分的に戻りつつあるのです。

交通と観光

現在、金沢シーサイドラインの路線が平潟湾を横断しており、金沢八景駅と野島公園駅をつなぐ重要な交通手段となっています。この路線を利用することで、多くの人々が湾の自然や観光名所を訪れることが可能となっています。なお、平潟湾周辺には野島公園や海の公園、八景島などの観光スポットも点在します。

平潟湾は、その歴史的背景、美しい景観、そして交通の便から、今なお多くの人々に愛されている地域です。

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