平王 (周)

周の第13代王 平王と東周の成立

周朝の第13代王である平王は、中国の歴史において重要な転換期を担った人物として知られています。彼の治世は、西周の終焉と東周の始まりを告げるものでした。平王以前の周王朝は、鎬京（現在の西安市附近）を都として栄えていましたが、平王の時代、周王朝は大きな変動を経験します。

平王は、幽王の子、宜臼として生まれました。幽王の時代、寵妃である褒姒と生まれた息子である伯服が後継者に指名されると、太子であった宜臼は廃太子となり、申へと逃れました。この出来事が、後の周王朝の動乱の引き金となります。幽王は、烽火のいたずらで諸侯の信頼を失っており、その隙を突いて、申侯（宜臼の外祖父）は西方の犬戎と協力して幽王を攻撃しました。

前771年、幽王と伯服は驪山で犬戎によって殺害され、褒姒も連れ去られました。西周はこうして滅亡し、周王朝は大きな危機に瀕します。この混乱の中、廃太子となっていた宜臼は、外祖父の申侯を始めとする諸侯の支援を受けて、申で即位することとなります。これが平王です。

しかし、都城である鎬京は戦乱によって荒廃していました。そのため、平王は前770年に洛邑（現在の洛陽）に遷都し、東周の時代が始まりました。この遷都は、中国の歴史における重要な出来事であり、政治の中心が東方に移ったことを意味します。東周時代は、春秋時代と戦国時代に分かれますが、平王の遷都は、この新たな時代の幕開けを象徴する出来事だったのです。

洛陽への遷都後も、平王の治世は平穏なものではありませんでした。鎬京には、平王の叔父である携王一派が勢力を残しており、東西分裂状態が続いていました。平王は前759年に携王一派を鎮圧し、分裂していた周王朝を統一しました。これは平王の政治手腕を示す重要な出来事と言えるでしょう。

平王は51年に渡る在位期間の後、崩御しました。彼の後継者として期待された太子洩父は夭折していたため、洩父の息子である林が王位を継承し、桓王となりました。平王の死後も、周王朝はその後も続く内紛や諸侯間の争いを経て、徐々に勢力を弱めていくことになります。しかし、平王の時代は、周王朝の歴史において大きな転換期であり、東周の成立という重要な出来事が起こった時代として、中国の歴史において重要な位置を占めています。彼の治世は、中国の歴史を語る上で欠かすことのできない重要な時代であったと言えるでしょう。

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