平賀義美

平賀 義美（ひらが よしみ）

平賀義美は、1857年9月23日に生まれ、1943年3月2日に亡くなった日本の著名な応用化学者です。彼の初名は石松决（いしまつ さだむ）であり、筑前国（現・福岡県）で生まれました。平賀は、若い頃から化学の分野に強い興味を持っており、1870年に大学南校に入学。これは、その後の彼の学問的基盤を築く重要な時期でした。

1878年には東京大学の化学科を卒業し、さらに学問を深めるためイギリスのオーエンス大学に留学します。この留学中、彼は有機化学と染色技術に関する専門的な知識を身につけました。帰国後の1881年には東京職工学校にて教鞭を執り、教育に従事することとなります。

1882年、平賀は判事であった平賀義質の死去に伴い、その娘婿となり、名前を「平賀義美」に改名しました。彼のキャリアはここからさらに飛躍し、1890年には農商務省の技師として任命されます。以降、彼はさまざまな役職を歴任し、1894年には大阪府立商品陳列所の所長に就任。その後1896年には大阪織物会社を設立し、その経営にも深く関与しました。

1917年には大阪実業協会の会長に就任し、実業界でも多大な影響を及ぼしました。彼が建設した「平賀義美邸」は、1919年に完成し、これはその後国の登録有形文化財に指定されました。1990年にはこの邸宅が川西市郷土館へと移築され、彼の業績を今に伝える重要な施設として大切にされています。

平賀の業績と栄典

平賀義美は、その功績に対しても評価されており、1886年7月8日には従六位を与えられました。彼は多くの著作を残しており、化学や教育に関する重要な資料を提供しました。彼の主な著作には、以下のようなものがあります。

• - 『物理初歩. 下篇』（1884年）
• - 『容量分析』（1885年）
• - 『染色術摘要』（1886年）
• - 『日本工業教育論』（1887年）
• - 『小学校用理科. 化学篇』（1887年）
• - 『染色法 : 実地簡便有益』（1887年）
• - 『応用化学』（1891年）
• - 『京都及附近光景全図 第五回内国勧業博覧会記念』（1902年）
• - 『大和紀伊及攝河泉名所案内図 第五回内国勧業博覧会記念』（1902年）

このように平賀は、学術界と実業界の双方で大きな業績を残し、日本の近代化に貢献しました。彼の豊かな知識と経験は、後の世代の研究者や教育者にとっても重要な指針となっています。平賀義美の名は、現在においても科学技術の発展に寄与する多くの業界で、記憶され続けています。

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