平野塚穴山古墳

平野塚穴山古墳について

平野塚穴山古墳（ひらのつかあなやまこふん）は、奈良県香芝市の平野に位置する古墳で、方墳の形状を持ちます。この古墳は平野古墳群の一部を構成しており、国の史跡に指定されています。多くの考古学者によって、茅渟王という人物の墓として推定されています。

位置と構造

この古墳は、奈良県西部の明神山の南斜面に築かれました。その墳丘は、部分的に削平を受けた状態にあります。また、1972年には盗掘に遭ったため、数回の発掘調査が実施されています。古墳の形は方形であり、下段のサイズは一辺が約25～30メートル、高さが約2.7メートル、上段は一辺約17.4メートル、高さは同じく約2.7メートル、全体の高さは約5.4メートルです。

墳丘は粘土と砂の層を交互に固める方法で構築され、外装には二上山の凝灰岩が使われています。埋葬施設には横口式石槨が設けられ、南向きに開口しています。この石槨には、短い羨道が設けられ、横穴式石室の特徴を残しています。発掘調査の結果、金環や中空玉、銅椀の破片などの副葬品が見つかっています。

築造時期

この古墳の築造時期は、古墳時代末期の7世紀後半から末期頃と考えられており、初期の横口式石槨として特に重要視されています。また、この古墳の被葬者については詳しくは分かっていませんが、王族に近い人物である可能性が高いとされています。

茅渟王との関連

平野塚穴山古墳は、茅渟王の墓とする説が特に有力です。茅渟王は古代日本の皇族で、皇極・斉明天皇、そして孝徳天皇の父とされています。『古事記』や『日本書紀』には彼の系譜が記載されていますが、具体的な事績はあまり明らかではありません。古墳の特徴や規模、発掘品などが茅渟王との関連性を指し示す要素とされています。

史跡の指定と公園化

平野塚穴山古墳は1973年に国の史跡に指定され、その後公園として整備されました。現在は「平野塚穴山古墳史跡公園」として一般公開されています。ただし石槨内部への立ち入りは制限されており、一般公開は年に春と秋に限られています。

発掘の歴史

発掘の歴史としては、1807年に作成された『平野村絵図』において、塚穴山古墳が顕宗天皇陵として記載されています。1972年には盗掘や発掘調査が行われ、1973年に国の史跡に登録。その後、様々な測量や調査が行われており、最近では3次元レーザー測量が実施されました。

結論

平野塚穴山古墳は、その独特な構造と歴史的背景から、多くの研究者に注目されています。茅渟王との関連性や古墳時代の墓の構造に関する貴重な資料を提供しているため、今後の研究成果にも期待が寄せられています。

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