平野運平

平野運平（ひらの うんぺい）

平野運平は1886年3月23日、静岡県小笠郡栗本村に生まれました。本名は榛葉健蔵で、彼はブラジル移民の先駆者として「ブラジル移民の父」と称されています。彼は明治・大正期における海外開拓家として大きな足跡を残しました。

平野運平は、掛川中学校を卒業後、義理の兄の家に入籍し、さらに東京外国語学校大西語科を卒業しました。彼の海外移住の旅は、1908年4月28日に神戸港から笠戸丸に乗船して始まりました。この移民はブラジルへの第1回の公式な移民であり、平野は通訳の一人としてこの航海に同行しました。シベリア経由で約50日間の旅を経て、彼らは1908年6月18日にサントス港に到着しました。

到着後、移民の多くはコーヒー農園に割り当てられ、平野運平はグァタパラの農園でリーダーシップを発揮しました。彼は後に約500家族をまとめる副総支配人という役職にまで昇進しました。1915年にはブラジルでの日本人開拓地の重要性を訴えた松村貞雄の考えに共感し、契約労働者としての地位から独立した農民へと移行する必要性を感じ、平野植民地の設立を目指しました。

彼は同年、ノロエステ線バウルー駅から125キロメートルの場所にある原生林を取得し、入植者を募りました。平野植民地となるその地には、1915年8月に先発隊が送り込まれ、同年12月には82家族が稲作を開始しました。しかし、この頃からマラリアの感染者が増加し、1916年2月にはほぼ全員が病床に伏す状況となりました。平野運平は高額なキニーネを手に入れるために、多額の借金を背負いましたが、その返済は彼の死後に持ち越されています。

マラリアの影響は深刻で、1916年初めには短期間に多くの人命が失われました。彼らの亡骸は開拓犠牲者之碑として記念されています。その後、1917年のイナゴの大群や、1918年の干ばつによる困難を経て、平野開拓地はコーヒーや綿花の栽培に成功しました。

平野運平は内縁の妻・中川イサノとの間に1918年に長男のジョゼをもうけました。彼の死後、新たに墓地が設けられ、そこには彼の肖像画が飾られています。また、彼の業績を贈る鎮魂碑も現地に建立され、2008年には故郷で平野運平顕彰会が行われました。

彼の生涯は、開拓記念日に合わせて2013年に書かれた「読本 ブラジル移民の父・平野運平」にまとめられており、彼の功績は今も語り継がれています。

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