平馬淳

神奈川県横浜市出身、1975年7月4日生まれ。日本の元社会人野球選手であり、内野手としてその名を馳せました。地元である横浜市瀬谷区の少年野球チーム、レッドホープスで野球を始め、中学時代は瀬谷シニアに所属。その後、野球の名門として知られる横浜高校に進学します。

高校では1年次からレギュラーとしてチームの中心選手に成長。2年時と3年時には選抜高等学校野球大会に出場を果たしましたが、いずれも初戦で敗退という結果に終わりました。3年時にはチームの主将を務めるなど精神的な柱ともなりましたが、夏の全国高等学校野球選手権大会には縁がなく、3年連続で神奈川県予選の決勝で敗れるという惜しい結果となりました。当時の同級生には、後に国際武道大学を経て中日ドラゴンズに入団した高橋光信氏らがいます。

高校卒業後、法政大学に進学すると、硬式野球部では下級生の頃から主力としてクリーンアップの一角を担うなど、中心選手としてその実力を遺憾なく発揮しました。同期には真木将樹氏がいます。

大学卒業後の1998年、平馬氏は社会人野球チームの東芝府中に入団。しかし、翌1999年にチームが解散したため、東芝野球部へと移籍することになります。東芝移籍後もその実力は健在で、広角に打ち分ける巧みな打撃と堅実な守備で遊撃手の定位置をすぐに獲得。瞬く間に日本代表の候補リストに名を連ねる存在となりました。

平馬氏の名前が広く知られることとなったのは、1999年に韓国・ソウルで開催された第20回アジア野球選手権大会での出来事です。この大会はシドニーオリンピックの出場権を懸けた重要な大会であり、日本代表には史上初めて8名のプロ野球選手が参加したことで注目を集めました。平馬氏は大会におけるチャイニーズ・タイペイ戦で、緊迫した投手戦の末、9回裏のチャンスに代打として登場。相手投手は後にメジャーリーグでもプレーした曹錦輝氏でしたが、平馬氏はその投球を見事に捉え、レフト前に運ぶサヨナラヒットを放ちました。この一打により、日本はシドニーオリンピック出場へ大きく前進。この試合では、平馬氏より5歳年下で同じ横浜高校出身の松坂大輔氏が1失点完投勝利を挙げており、勝利を決定づけたのが平馬氏のバットでした。翌日のスポーツ紙では「平馬」の大文字が紙面を飾り、ドラフト候補以外のアマチュア選手がスポーツ紙の一面を飾るという極めて異例の事態となりました。

アジア選手権での活躍後も、プロ野球からの誘いはありませんでしたが、平馬氏は大学の先輩でもある安田真範氏らとともに、東芝の看板選手として社会人野球界を牽引し続けました。特に2004年から2006年までの3シーズンは、チームの主将としてナインをまとめ上げました。2007年シーズンは主将の座を譲りましたが、同年に行われた第78回都市対抗野球大会では攻撃の起点として機能し、チームの8年ぶりとなる優勝に大きく貢献。自身もこの大会で打率.538という高打率を残し、首位打者賞を獲得するという活躍を見せました。翌2008年は東芝としては本大会出場を逃しましたが、平馬氏は新日本石油ENEOSの補強選手として指名され、ここでも優勝に貢献する活躍を披露しました。

多くの国際大会にも日本代表として選出されており、1999年には第1次・第2次四カ国対抗国際大会、アジア野球選手権大会、IBAFインターコンチネンタルカップに出場。2000年には四カ国対抗国際大会、日本・キューバ五輪壮行試合を経て、シドニーオリンピック本大会にも出場しました。

社会人選手として残した功績として、社会人ベストナインには2度選ばれています。1999年には遊撃手として、2007年には三塁手として受賞しました。

2009年限りで現役を引退。その後2年間は社業に専念しましたが、2012年からはコーチとして現場に復帰しました。さらに2018年からは東芝野球部の監督に就任し、2023年シーズンまで指揮を執り、後進の指導に尽力しました。

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