年料給分

年料給分（ねんりょうきゅうぶん）について

年料給分、または略して年給は、平安時代に存在した独特な制度で、封禄に基づき官位や叙位を与える仕組みでした。この制度は主に院宮や権力のある寺社によって運用され、彼らは毎年行われる除目（じょもく）において特定の官職や叙位への推薦権を持つことができました。

制度の背景と目的

年給制度は、特に朝廷の中での権力のバランスを保つための重要な仕組みでした。院宮や大寺院は、官位を得たい志望者から公募を行い、希望する叙位や官職に就ける権利を与える代わりに、叙爵料や任料などを受け取ることができました。このようにして、特定の職にあぶれる人々に対して恩恵を与えつつ、給主たちの支配権を強化する役割を果たしていました。

給主の役割と関連制度

給主である院宮・寺社は、叙位や官職に推薦される希望者を毎年募集し、選考をおこないます。このとき、応募者は必要に応じて叙爵料や任料を支払う必要がありましたが、時には給主が親族や側近への報酬としても官位を授与することがあり、その場合は金銭のやりとりは発生しませんでした。

また、年官・年爵で任命される者は必ずしも実在する人物でなくてもよく、仮名を用いて「吉野花盛」や「池辺清風」といった名前が使用された例もあります。これにより、実際には活動していない人々も官位を持つことができたのです。時には、名目上的に官位に就くことが許され、実務を行わずともその名誉だけ享受することができました。

年料給分の拡大と影響

年給制度は、延暦や仁寿の時代に設定されたとされ、徐々にその適用範囲が広がっていきました。特に鎌倉時代になると、春の除目では地方の官が、秋には京の官が任命され、緊急の場合には臨時給付も行われるようになりました。これにより、地方への影響が顕著になり、特に官制全体に混乱を引き起こす要因となりました。

例えば、治暦4年には近江地方に14人の掾（じょう）が任命され、さらに安元2年には肥前地方に13人の介（かい）が存在していたことからも、その規模を窺い知ることができます。このように、年給制度の拡大とともに、地方の官職も増加し、結果的に官制の整合性を損なう要因ともなりました。

まとめ

年料給分は平安時代の封禄制度における重要な要素であり、院宮や寺社によって支配された特定の経済的恩恵を持つ仕組みでした。これにより、官位の獲得が経済活動と密接に結びつき、平安時代の政治構造や社会の仕組みを理解するための鍵となるでしょう。

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