幸田正広

幸田 正広（こうだ まさひろ）

1970年7月1日、東京都江戸川区に生を受けた幸田正広氏は、かつてプロ野球選手としてヤクルトスワローズに在籍した内野手です。右投げ右打ちのプレースタイルで、高校時代からその才能を発揮しました。

彼の野球人生は、安田学園高等学校で本格化します。早い段階でチームの主力となり、1年生の頃からレギュラーポジションを獲得するなど、将来を嘱望される存在でした。高校卒業後、1988年のプロ野球ドラフト会議において、ヤクルトスワローズから4位指名を受け、プロの世界へと飛び込みます。

プロ入り後のキャリアは、異国の地での経験から始まりました。プロ1年目の1989年には、若手育成の一環として、MLBのマイナーリーグにあたる1A、サリナス・スパーズへの野球留学に派遣されます。アメリカの野球スタイルや文化に触れる貴重な機会を得ましたが、日本に戻ってからの道のりは決して平坦ではありませんでした。

一軍でのデビューは、入団から4年後の1992年でした。しかし、レギュラーとしてチームに定着することは叶わず、多くは二軍での出場機会を待ち続ける日々でした。内野のポジションを争う中で、その実力を十分に発揮する機会に恵まれず、プロ野球選手として9シーズンを過ごした後、1997年シーズン限りで現役生活に幕を下ろす決断をしました。現役時代を通じて、背番号「53」を着用しました。

プロ野球選手としての主な記録は以下の通りです。

初出場: 1992年4月7日、ナゴヤ球場で行われた対中日ドラゴンズ1回戦。7回裏、遊撃手・池山隆寛選手の代わりとして守備に就きました。
初打席・初安打: 初出場と同日。9回表、相手投手である山内和宏氏からライト前へクリーンヒットを放ち、プロ初安打を記録しました。
初先発出場: 1992年4月8日、ナゴヤ球場での対中日ドラゴンズ2回戦。この試合では「8番・遊撃手」としてスタメンに名を連ねました。
初打点: 1994年8月31日、明治神宮野球場での対阪神タイガース24回戦。7回裏、弓長起浩投手から犠牲フライを放ち、初めて打点を挙げました。

プロ野球選手としてのキャリアを終えた後、幸田氏はスーツに着替え、ビジネスの世界へと転身します。ビルの総合管理を行う企業に入社し、長年にわたり会社員として勤務しました。野球とは全く異なる職種での経験は、彼にとって新たな学びとなったことでしょう。

しかし、彼の野球への情熱が完全に消えることはありませんでした。2020年、新たな形で再びグラウンドに戻る機会が訪れます。女子硬式野球の振興を目指し、同年に結成されたクラブチーム、埼玉西武ライオンズ・レディースのコーチに就任したのです。自身が培ってきたプロでの経験や、引退後のセカンドキャリアで得た知見を活かし、若い女子選手たちの指導にあたり、日本の女子野球の発展に貢献しています。

東京都出身のプロ野球選手、そして日本人がMLB傘下でプレーした事例としても、幸田正広氏の名前は語り継がれることでしょう。彼の経歴は、プロスポーツ選手の多様なキャリアパスを示す一例とも言えます。

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