幸福 (1981年の映画)

映画『幸福』の概要

日本映画『幸福』（こうふく）は、1981年10月10日に公開されました。この作品は、フォーライフと東宝映画の共同製作によって生まれ、市川崑監督がメガホンを取っています。本作は、心温まる父子の絆と人間模様を描いた感動的な内容で、幅広い層の観客に受け入れられました。併映として『アモーレの鐘』も公開されています。

主な受賞歴

本作は、映画界で高く評価され、いくつかの賞を受賞しています。キネマ旬報ベスト・テンで第6位に輝き、主演男優賞を永島敏行が受賞しました。さらに、毎日映画コンクールでは日本映画優秀賞とブルーリボン賞ベストテン入選を獲得。また、年間代表シナリオに選ばれ、文化庁の優秀映画にも選出されるなど、その評価は非常に高いものでした。昭和56年度の芸術祭にも参加し、多くの映画ファンの心に残る作品となっています。

製作の背景

監督の市川崑は長年にわたり、父親をテーマにした映画を作りたいと考えていました。そして主演の水谷豊は、市川に映画制作を提案したことで、製作がスタートしました。初めのうちは、市川は米国映画『クレイマー、クレイマー』のような内容を構想していましたが、水谷の熱意に押される形で話が進みました。その結果、エド・マクベインの『87分署シリーズ』の一作である『クレアが死んでいる』を原作とし、親子の物語に再編成されることとなりました。

特に、日常的な視点を取り入れた脚本作成には、大藪郁子が参加しました。撮影は東京の足立区や北区を中心とし、ほぼ全編がロケで行われました。そして、特殊現像処理法「銀残し」を用いて独自の映像美を追求しています。

ストーリー

物語は、小さな書店で起きた無差別銃撃事件から始まります。村上刑事、北刑事、野呂刑事が現場に駆けつけますが、犯人はすでに逃走していました。事件の結果、大学教授の雨宮、会社員の遠藤、そして北刑事の恋人中井庭子が犠牲となりました。特に、庭子は北刑事の婚約者であったことから、彼らの捜査は彼女に関連する人物から始まります。

捜査を進める中で、事件は複雑に絡まり、被害者の一人、遠藤が計画していた蕎麦屋の開業に関わる重要な情報が浮かび上がってきます。ダイイング・メッセージや証拠をたどることで、事件の背後にある人間関係や動機が明らかになり、最終的には銃撃事件の真相が解明されます。

キャスト

本作には、水谷豊（村上刑事）、永島敏行（北刑事）、谷啓（野呂刑事）、中原理恵（中井庭子）など、豪華なキャストが揃い、それぞれのキャラクターに深みを与えました。特に、水谷の演じる村上刑事は、家庭を顧みずに働く姿が多くの観客の共感を呼びました。

まとめ

映画『幸福』は、単なる犯罪ドラマの枠を超え、人間関係や幸福とは何かを問う深い作品です。公開当時から多くの人々に愛され続け、今日でもそのメッセージは色褪せることがありません。印象的な脚本と演出、そして魅力的なキャストによって生み出されたこの映画は、観る人に温かな感情をもたらすことでしょう。

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