幾寅駅

幾寅駅（いくとらえき）：映画「鉄道員」の舞台となった駅の歴史と記憶

幾寅駅は、かつて北海道空知郡南富良野町に位置し、根室本線に属していた駅でした。2024年4月1日の根室本線の一部区間廃止に伴い、その歴史に幕を閉じましたが、映画「鉄道員（ぽっぽや）」のロケ地として、今も多くの人々の記憶に残っています。

歴史

幾寅駅は、1902年（明治35年）に北海道官設鉄道十勝線の駅として開業しました。その後、鉄道省への移管、路線の名称変更などを経て、1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化によりJR北海道の駅となりました。かつては急行「狩勝」も停車する主要駅でしたが、1984年（昭和59年）に無人駅となり、2003年（平成15年）には完全無人化されました。

駅周辺では、かつて幾寅森林軌道という馬車鉄道が運行されており、森林資源の輸送に貢献していました。しかし、1928年（昭和3年）に廃止されています。

駅構造

廃止時点では、単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。かつては2面2線の相対式ホームで、貨物積卸線も存在しましたが、時代の流れとともに縮小されました。駅舎は線路の北側に位置し、ホームとは階段で連絡していました。映画の撮影のために、駅舎は古さを強調した外観に改修されています。

映画「鉄道員（ぽっぽや）」

幾寅駅は、映画「鉄道員（ぽっぽや）」のロケ地として全国的に知られるようになりました。映画では「幌舞駅」として登場し、駅舎や駅周辺が忠実に再現されました。駅前には、映画で使用されたキハ40形気動車の前頭部が保存されており、ファンにとっては聖地となっています。

駅の待合室内には、映画撮影関連の写真や小道具、出演者のサインなどが展示されており、映画の世界観に浸ることができます。また、駅前の食堂など、ロケーションセットも一部残されており、当時の雰囲気を偲ぶことができます。

駅周辺

幾寅駅周辺は、南富良野町の市街地となっており、商店や住宅が立ち並んでいます。近隣には、道の駅南ふらの、南富良野町役場、幾寅郵便局などの施設があります。また、スキー場や高校などもあり、地域住民の生活を支えています。

アクセス

幾寅駅は廃止されましたが、かつては以下の駅に隣接していました。

根室本線：東鹿越駅 - 幾寅駅 - 落合駅

現在は、代替バスなどが運行されている可能性がありますので、最新の情報を確認してください。

幾寅駅は、その役割を終えましたが、映画「鉄道員（ぽっぽや）」の舞台として、そして地域の歴史を伝える場所として、これからも人々の心に残り続けるでしょう。

参考文献

南富良野町史 下巻 平成3年発行
* 旭川営林局史 第一巻 昭和35年発行

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