東鹿越駅

東鹿越駅（廃駅）

東鹿越駅は、かつて北海道空知郡南富良野町に位置していた、北海道旅客鉄道（JR北海道）根室本線の駅でした。その歴史は、石灰石の採掘と深く関わっています。

歴史

1900年代初頭、現在の南富良野町では石灰石の採掘が盛んに行われていました。1908年頃には、現在の東鹿越駅付近で王子製紙による鉱山経営が開始。採掘された石灰石は、隣の鹿越駅から鉄道輸送されていましたが、当初は馬車軌道が利用されていました。

1941年、太平洋戦争の開戦により石灰石の増産が求められるようになり、根室本線上に石灰石発送のための専用線と信号場が設置されました。これが東鹿越信号場の始まりです。ここで産出された石灰石は、日本製鐵輪西製鉄所で使用されました。

その後、信号場は仮乗降場として旅客の取り扱いも開始。鉱山開発の進展に伴い、乗降客が増加したため、1946年には正式な駅へと昇格しました。この際、日鉄鉱業が駅舎やホームなどを建設し、国鉄に提供しています。

石灰石は、製鉄の他、製糖やパルプ製造にも利用され、輸送が続けられました。しかし、1997年にホクレン中斜里製糖工場向けの貨物列車が廃止。以降は旅客列車のみが発着する駅となりました。

2016年、利用客の減少により廃止が検討されましたが、同年8月の台風10号による被災により、根室本線の一部区間が不通となり、代行バスとの乗り換え拠点として存続することになりました。しかし、新得方面への復旧は叶わず、2024年4月1日に富良野駅 - 新得駅間が廃止されたことで、東鹿越駅もその役目を終えました。

年表

1941年12月29日：東鹿越信号場として開設
1946年3月1日：東鹿越駅として一般駅に昇格
1987年4月1日：国鉄分割民営化により、JR北海道の駅となる
1997年3月22日：貨物列車の運行が終了し、完全無人化
2016年8月31日：台風10号の影響で根室本線の一部が不通となる
2024年4月1日：富良野駅 - 新得駅間の廃止に伴い廃駅

駅名の由来

隣駅の鹿越駅の東方に位置することから、その名が付けられました。

駅構造

廃止時点では、島式ホーム1面2線を有する地上駅でした。駅舎とホームは構内踏切で繋がれていました。

貨物取扱

かつては日鉄鉱業東鹿越鉱業所への専用線が接続し、石灰石輸送が盛んでしたが、1997年以降は貨物列車の発着がなく、2024年に廃駅となりました。

利用状況

旅客数は年々減少傾向にありました。

駅周辺

駅周辺には、元々集落は形成されておらず、日鉄鉱業の鉱山に付随する住宅街があるのみでした。また、金山ダムの建設により、駅前はかなやま湖となっています。

かなやま湖
日鉄鉱業東鹿越鉱業所（閉山）
* 王子木材緑化鹿越鉱業所

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）

■根室本線（廃止時）

金山駅 - 鹿越仮乗降場 - 東鹿越駅 - 幾寅駅

東鹿越駅は、地域の産業と人々の生活を支えた駅でしたが、時代の変化と共にその役割を終えました。その歴史は、南富良野町の記憶として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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