広園寺

広園寺の概要

広園寺（こうおんじ）は、東京都八王子市にある臨済宗南禅寺派に属する寺院で、地元ではその名が親しまれています。山号は兜卒山（とそつざん）とされ、その歴史は長いものです。境内は東京都の史跡に指定されており、多くの訪問者がその歴史的価値を訪ねています。

歴史

広園寺の創建は、康応元年（1389年）とされており、大江広元の子孫である片倉城主の大江師親が僧侶の峻翁令山を迎えて建立したと伝えられています。ただし、これらの伝承には確実な証拠がないため、開基に関する説はさまざまです。というのも、別の説には大江師親の息子である道広が創立したとも言われています。また、「江氏系譜」には、大江氏傍流である長井氏の5代目、長井貞秀の次男にあたる長井広秀が創建したとの記録も残されています。

八王子エリアには、高乗寺や慶泉院など、同じ臨済宗南禅寺派に属する寺院が存在し、創建時期が近いことから広園寺と関連があると考えられています。特に長井氏の歴史は、武蔵国永井氏とも密接に関連しており、過去帳にはその系譜が明記されています。ついには、長井氏から永井氏に名字を変更した理由についても、家族の不幸を乗り越え、家系を繁栄させる願いが込められていると言われています。永井氏は、それまでの慶泉院を菩提寺として利用していたため、さらにその歴史が重なります。

広園寺の範囲は、数万坪にも及ぶ広大なもので、かつては10以上の塔頭が存在しました。しかし、天正18年（1590年）の豊臣秀吉による小田原征伐に伴い、八王子城が落城する際に広園寺も焼失しました。その後、徳川家康からの朱印状を受けて再興されたものの、多くの火災に見舞われ、元禄10年（1697年）には再び大火で大部分が失われました。その後、寺院は再建され、総門や仏殿、鐘楼などが新たに造られることとなります。

建築物

広園寺の建築物は、その美しさと重要性から東京都の有形文化財にも指定されています。特に注目すべきは以下の建物です。

• - 総門：天保元年（1830年）に再建されたもので、一間の桁行と一間の梁間からなる一重の切妻造りです。
• - 山門：室町時代からの寺額が掲げられた二重門で、三間一戸の入母屋造りとなっています。
• - 仏殿：文化8年（1811年）に再建され、三間の桁行と三間の梁間を持つ一重の寄棟造りです。
• - 鐘楼：一間の桁行と一間の梁間の宝形造りで、古い年代の銘が刻まれた鐘が保管されています。

これらの建物は南北一直線に並んでおり、その姿は広園寺のシンボルともなっています。新たに再建されたこれらの建物は、文化的価値だけでなく、さまざまな歴史的背景を物語っています。

所在地・アクセス

広園寺は東京都八王子市山田町1577に位置し、京王線山田駅から徒歩約7分の距離にあります。その立地は便利で、電車でのアクセスも良好です。訪問者は、寺院の歴史や文化に思いを馳せながら、静かな境内で過ごすことができます。

このように、広園寺はただの寺院ではなく、豊かな歴史と文化を秘めた宝物とも言える存在です。そして、訪れる人々に深い感慨や思索の機会を与えてくれることでしょう。

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