広安門事件

広安門事件

広安門事件は、1937年7月26日、日中戦争の初期に北平市（現在の北京市）で発生した日本軍と中国軍の衝突を指します。これは、日中戦争における重要な出来事で、事件の前には盧溝橋事件や廊坊事件といった衝突が相次いでいました。

事件の背景

この事件の起こる約3週間前、7月7日に盧溝橋事件が発生し、翌25日には廊坊事件が起こっていました。これらの一連の出来事は、日中関係の緊張を一層高めていました。このような状況下で、広安門事件が発生するわけですが、そのきっかけとなったのは、北平居留民の保護のために行動した日本軍の動きにありました。

事件の詳細

事件当日、日本軍の広部大隊は26台のトラックで北平にある兵営に向かいました。事前に松井特務機関長は冀察政務委員会当局と交渉し、通行許可を得ていました。そのため、広安門を通過する準備が整っていました。しかし、午後6時頃、警備を担当していた中国軍は城門を閉鎖し、日本軍の通過を妨げます。

交渉の末、午後7時30分に門が開かれ、日本軍は通過を始めました。しかし、部隊の大部分が通過したところで、中国側は突然門を再び閉ざし、手榴弾や機関銃による攻撃を開始します。この急襲に対し、広部部隊も応戦を余儀なくされました。

中国軍はさらに兵力を増強し、大隊を包囲。その後午後9時30分に救援隊が派遣され、停戦交渉が行われました。結果的に、日本軍の一部は公使館区域に避難することとなり、戦闘は翌2時過ぎにようやく収束しました。

日本軍の死傷者

この事件における日本軍は、上等兵2名が戦死し、その他にも少佐や大尉など多くの負傷者を出しました。通訳も戦死しており、日本軍はこの一連の戦闘に大きな痛手を被りました。

事件の影響

広安門事件は、日本軍にとって大きな転機となりました。この事件を受け、日本軍は冀察政務委員会に対して厳しい声明を発表し、軍は自主的に行動する決定を下しました。事件直後、日本軍は北平と天津の中国軍に対して攻撃を開始し、短期間で中国軍を掃討しました。その後、7月29日には通州事件が発生し、これにより日本国内の世論が一層激昂することとなりました。

広安門事件は日中戦争の激化を示す重要な出来事であり、以降の戦局に大きな影響を与えたことを考えれば、この事件の重要性を改めて認識する必要があります。

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