広島東洋カープ由宇練習場

広島東洋カープ由宇練習場：ファームの聖地、その歴史と魅力

広島東洋カープ由宇練習場は、山口県岩国市由宇町に広がる、カープ二軍の本拠地兼練習施設です。通称「由宇球場」として親しまれ、チームの育成を支える重要な拠点となっています。

由宇球場誕生の背景：西への展開と施設不足

1992年以前、広島カープの二軍は福山市の「みろくの里神勝寺球場」（現在のツネイシスタジアム）を本拠地としていました。しかし、選手寮のある廿日市市からの長距離移動や、練習施設の不足が課題となっていました。当時、球団は広島市民球場と、広島市西区、廿日市市に練習施設を保有していましたが、ファームの充実には不十分でした。関東や東北への二軍本拠地構想もありましたが、実現せず、新たな練習場の建設が決定しました。

呉市、柳井市、そして由宇町が候補地として挙げられ、最終的に土地取得費の安さ、広さ、温暖な気候などを考慮し、由宇町が選ばれました。マツダ関連企業の社長が球団役員にいたことも計画推進の助けとなり、1991年3月に着工、1993年3月に由宇練習場が開場しました。

球場概要：練習重視の設計と入場無料

由宇球場は、二軍練習場として設計されたため、観客席は内外野ともに芝生席です。内野芝生席のみ開放され、外野芝生席は閉鎖されています。バックネット裏には管理棟がありますが、一般客は立ち入りできません。二軍戦は「練習」という位置づけから入場無料ですが、駐車場は有料です。2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入場ゲートの制限なども行われています。

グラウンド出入口は三塁側にあり、サブグランドや投球練習場も併設されています。試合開催時のダッグアウトは、移動距離の都合から広島が三塁側、ビジターチームが一塁側を使用します。ただし、マツダスタジアムや地方開催のホームゲームでは、一軍と同じ一塁側を使用します。

アクセスは、最寄りの由宇駅からバスで行くことができますが、本数が少ないため、自家用車やタクシーが主なアクセス手段となっています。球場周辺にはコンビニやスーパーがないため、飲食の購入は事前に済ませておく必要があります。

観客数増加と施設改修：進化を続ける由宇球場

入場無料であることや広島カープ人気の上昇、地元店舗との協力による飲食物のワゴン販売などにより、近年は多くのファンが由宇球場を訪れるようになりました。2010年から2016年にかけては、観客数が年々増加しました。この増加に対応するため、2016年にはトイレの増設、地元物産品を取り扱う売店の開設などが行われました。

由宇球場は、16010㎡という広大なグラウンド面積を誇り、バッティングケージを3つ並べられるなど、選手育成に最適な環境が整えられていました。しかし、広すぎるファウルエリアは観戦環境としては課題があり、2016年の改修でファウルエリアを縮小するなど、改修工事が行われました。

2014年にはスコアボードの電光掲示板化、2015年には駐車場の舗装とトイレ増設が行われ、2016年からは3カ年計画で本格的な改修が行われています。バックネットの移動、ダッグアウトの改修、管理棟の全面改築、地元物産店の開設、外野芝の張り替え、マウンドの改修など、多岐にわたる改修が行われ、より快適な練習環境と観戦環境が整備されました。

交通アクセス：公共交通機関と自家用車

JR由宇駅から岩国市営バス、またはタクシー、JR岩国駅、新岩国駅からいわくにバス（土日祝日のみ）、またはタクシー、山陽自動車道玖珂ICからもアクセス可能です。ただし、公共交通機関は本数が少ないため、自家用車が便利です。

まとめ：進化を続けるファームの聖地

由宇練習場は、交通の便は決して良いとは言えませんが、入場無料で広大な練習環境、そして充実した施設を備え、多くのファンに愛される球場となっています。今後も、カープ二軍の育成を支え、進化を続けることでしょう。

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