広島県道21号加茂油木線
広島県道21号加茂油木線は、広島県南東部に位置する福山市から、県境に近い神石郡神石高原町へと至る主要地方道です。
この県道は、福山市加茂町中野にある国道182号との交差点を起点とし、神石郡神石高原町近田で再び国道182号に接続する地点を終点としています。総延長は36キロメートルを超え、一部に旧道区間も含まれています。
路線全体としては一本の県道として指定されていますが、その性格は区間によって大きく異なります。起点の福山市加茂町から山間部の福山市山野町に至る区間は、主に福山市中心部と山野町を結ぶ生活道路、あるいは地域内の幹線としての役割を担っています。一方、福山市山野町から終点の神石郡神石高原町にかけての区間は、小田川の流れに沿いながら、神石高原町と岡山県井原市方面を福山市山野町を経由して結ぶという、やや異なる役割を果たしています。このように、この路線は福山市内で完結する性格と、県境を越える地域間を結ぶ性格という、二つの顔を持っているのが特徴です。
起点の福山市加茂町字中野から福山市山野町大字山野までの区間は、概ね2車線が確保されており、比較的整備された良好な道路状況です。
しかしながら、福山市山野町大字山野から神石郡神石高原町上野にかけての区間は、状況が一変します。幅員が極めて狭く、最小で2メートル程度の箇所も存在するため、大型車の通行は事実上不可能です。すれ違いのための待避スペースも限られており、いわゆる「険道」として知られています。この区間は異常気象時通行規制の対象となっており、荒天時には通行止めとなる場合があります。終点の神石郡神石高原町近田付近にある案内標識でも、岡山県井原市方面へ向かう場合は、本県道ではなく広島県道411号木割谷小吹線への迂回が推奨されていることからも、この区間の厳しい道路状況がうかがえます。
将来的な整備が望まれていますが、仮に厳しい区間が改良されたとしても、前述した路線の性格から、全線を通じた利用は限定的と見られています。福山市山野町へのアクセス向上だけでなく、山野町から岡山県井原市方面へスムーズに通り抜けられるような、広域的な視点からの接続性向上を期待する声もありますが、岡山県側は現状でその実現に慎重な姿勢を示しているようです。
この県道には、福山市山野町大字山野において広島県道・岡山県道104号坂瀬川芳井線、神石郡神石高原町近田において広島県道411号木割谷小吹線との重複区間が存在します。
現在の広島県道21号加茂油木線は、1964年（昭和39年）に主要地方道として建設省（当時）から認定されたことに始まります。翌1965年（昭和40年）には、広島県道24号加茂油木線として広島県の県道に認定されました。その前身には、広島県道207号上谷山野線の全線や、広島県道209号山野駅家線など複数の県道の一部が含まれていました。1972年（昭和47年）には広島県の県道番号が再編され、現在の21号という整理番号に変更されました。
その後の自治体合併に伴い、起終点の地名表記も変更されています。1975年（昭和50年）の深安郡加茂町の福山市への編入により、起点の表記が福山市加茂町中野に変わりました。また、2004年（平成16年）には神石郡の町村合併により神石郡神石高原町が誕生したことで、終点の表記が神石郡神石高原町近田となりました。
主要地方道としては、1993年（平成5年）に改めて再指定を受けています。また、道路改良も進められており、比較的新しい歴史として、2015年（平成27年）には福山市山野町大字山野の一部で新道（東免工区）の供用が開始されています。路線の歴史の中で、七曲隧道（現在の新七曲トンネル付近）は古くから重要な役割を果たしており、1950年代には既に開通していました。
本路線には、加茂川を渡る芦原橋や小田川を渡る新西田橋などの橋梁が存在します。トンネルとしては、1998年（平成10年）に完成した延長640メートルの新七曲トンネルと、1950年（昭和25年）竣工の延長77メートルの猿鳴トンネルがあります。猿鳴トンネルは、コンクリート吹き付けがされていますが、元は素掘りのトンネルです。
地理的には、福山市の加茂町、山野町を経て、神石郡神石高原町の飛び地的な区間を通過し、再び福山市に入ってから神石高原町に至るという、やや複雑な自治体通過経路をとります。沿線には、福山市役所の加茂支所や山野分所があるほか、地域の重要な河川である小田川、そして四川ダムや仙養ダムといったダム湖があります。風光明媚な山野峡（猿鳴峡）や、遊歩道として整備された中国自然歩道なども近くを通り、自然景観に恵まれた地域です。
福山市加茂町から山野町にかけての区間は、かつて備後福山城下から備中高山市などを経て伯耆方面へ向かう旧街道である「平川往来」の一部と並行しており、特に堀切峠（通称「七曲」）付近は古くから交通の要衝でした。
主要な交差点としては、起点・終点で国道182号に接続するほか、福山市加茂町で広島県道392号中野駅家線、神石郡神石高原町近田で広島県道411号木割谷小吹線と交差・重複しています。
広島県道21号加茂油木線は、地域の生活や産業を支える一方で、険しい自然地形の中を通ることから整備が課題となっている区間も抱えており、その成り立ちや現在の姿は多様な歴史と地理的背景に彩られています。
概要
この県道は、福山市加茂町中野にある国道182号との交差点を起点とし、神石郡神石高原町近田で再び国道182号に接続する地点を終点としています。総延長は36キロメートルを超え、一部に旧道区間も含まれています。
路線全体としては一本の県道として指定されていますが、その性格は区間によって大きく異なります。起点の福山市加茂町から山間部の福山市山野町に至る区間は、主に福山市中心部と山野町を結ぶ生活道路、あるいは地域内の幹線としての役割を担っています。一方、福山市山野町から終点の神石郡神石高原町にかけての区間は、小田川の流れに沿いながら、神石高原町と岡山県井原市方面を福山市山野町を経由して結ぶという、やや異なる役割を果たしています。このように、この路線は福山市内で完結する性格と、県境を越える地域間を結ぶ性格という、二つの顔を持っているのが特徴です。
路線状況
起点の福山市加茂町字中野から福山市山野町大字山野までの区間は、概ね2車線が確保されており、比較的整備された良好な道路状況です。
しかしながら、福山市山野町大字山野から神石郡神石高原町上野にかけての区間は、状況が一変します。幅員が極めて狭く、最小で2メートル程度の箇所も存在するため、大型車の通行は事実上不可能です。すれ違いのための待避スペースも限られており、いわゆる「険道」として知られています。この区間は異常気象時通行規制の対象となっており、荒天時には通行止めとなる場合があります。終点の神石郡神石高原町近田付近にある案内標識でも、岡山県井原市方面へ向かう場合は、本県道ではなく広島県道411号木割谷小吹線への迂回が推奨されていることからも、この区間の厳しい道路状況がうかがえます。
将来的な整備が望まれていますが、仮に厳しい区間が改良されたとしても、前述した路線の性格から、全線を通じた利用は限定的と見られています。福山市山野町へのアクセス向上だけでなく、山野町から岡山県井原市方面へスムーズに通り抜けられるような、広域的な視点からの接続性向上を期待する声もありますが、岡山県側は現状でその実現に慎重な姿勢を示しているようです。
この県道には、福山市山野町大字山野において広島県道・岡山県道104号坂瀬川芳井線、神石郡神石高原町近田において広島県道411号木割谷小吹線との重複区間が存在します。
歴史
現在の広島県道21号加茂油木線は、1964年（昭和39年）に主要地方道として建設省（当時）から認定されたことに始まります。翌1965年（昭和40年）には、広島県道24号加茂油木線として広島県の県道に認定されました。その前身には、広島県道207号上谷山野線の全線や、広島県道209号山野駅家線など複数の県道の一部が含まれていました。1972年（昭和47年）には広島県の県道番号が再編され、現在の21号という整理番号に変更されました。
その後の自治体合併に伴い、起終点の地名表記も変更されています。1975年（昭和50年）の深安郡加茂町の福山市への編入により、起点の表記が福山市加茂町中野に変わりました。また、2004年（平成16年）には神石郡の町村合併により神石郡神石高原町が誕生したことで、終点の表記が神石郡神石高原町近田となりました。
主要地方道としては、1993年（平成5年）に改めて再指定を受けています。また、道路改良も進められており、比較的新しい歴史として、2015年（平成27年）には福山市山野町大字山野の一部で新道（東免工区）の供用が開始されています。路線の歴史の中で、七曲隧道（現在の新七曲トンネル付近）は古くから重要な役割を果たしており、1950年代には既に開通していました。
道路施設と地理
本路線には、加茂川を渡る芦原橋や小田川を渡る新西田橋などの橋梁が存在します。トンネルとしては、1998年（平成10年）に完成した延長640メートルの新七曲トンネルと、1950年（昭和25年）竣工の延長77メートルの猿鳴トンネルがあります。猿鳴トンネルは、コンクリート吹き付けがされていますが、元は素掘りのトンネルです。
地理的には、福山市の加茂町、山野町を経て、神石郡神石高原町の飛び地的な区間を通過し、再び福山市に入ってから神石高原町に至るという、やや複雑な自治体通過経路をとります。沿線には、福山市役所の加茂支所や山野分所があるほか、地域の重要な河川である小田川、そして四川ダムや仙養ダムといったダム湖があります。風光明媚な山野峡（猿鳴峡）や、遊歩道として整備された中国自然歩道なども近くを通り、自然景観に恵まれた地域です。
福山市加茂町から山野町にかけての区間は、かつて備後福山城下から備中高山市などを経て伯耆方面へ向かう旧街道である「平川往来」の一部と並行しており、特に堀切峠（通称「七曲」）付近は古くから交通の要衝でした。
主要な交差点としては、起点・終点で国道182号に接続するほか、福山市加茂町で広島県道392号中野駅家線、神石郡神石高原町近田で広島県道411号木割谷小吹線と交差・重複しています。
広島県道21号加茂油木線は、地域の生活や産業を支える一方で、険しい自然地形の中を通ることから整備が課題となっている区間も抱えており、その成り立ちや現在の姿は多様な歴史と地理的背景に彩られています。
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