広島県道248号野呂山公園線

広島県呉市に位置する県道248号野呂山公園線は、標高839メートルを誇る野呂山の山頂へと続く主要なアクセス道路です。この路線は、野呂山公園を訪れる観光客や登山客にとって欠かせないルートとなっています。かつては有料道路として供用され、「さざなみスカイライン」の愛称で広く知られていましたが、現在は無料開放されています。無料化後もこの通称は今なお親しまれており、「野呂山スカイライン」や「野呂山道路」と呼ばれることもあります。

本路線は1968年7月1日に開通しました。その後、より多くの人々が野呂山へアクセスしやすくするため、1983年4月1日をもって無料開放されました。有料時代に親しまれた「さざなみスカイライン」という名称は、無料化後も通称としてそのまま定着し、今日に至ります。

県道248号野呂山公園線の起点は、呉市川尻町板休にある野呂山ロータリー前です。終点は、同市川尻町西2丁目の野呂山公園入口交差点に位置し、ここで国道185号に接続しています。総延長は約10.5キロメートルと比較的短い区間ですが、この距離の中で野呂山山頂までの標高差約740メートルを一気に駆け上がります。

この約10.5キロメートルという距離の中で大きな標高差を克服するため、路線全体を通じて急勾配と連続する急カーブが特徴的な山岳道路となっています。運転には十分な注意が必要であり、特に冬季（概ね12月から3月にかけて）には、標高が高くなるにつれて積雪や路面凍結が発生しやすくなります。冬期に通行する際は、事前に気象情報や道路状況を確認し、必要に応じて滑り止め対策を行うことが推奨されます。

路線が位置する野呂山エリアは瀬戸内海に面しており、一帯は瀬戸内海国立公園にも指定されています。しかし、残念ながら道路そのものから直接的に瀬戸内海の広がりを望める場所は限られています。その代わりに、山頂付近に設けられた展望台からは素晴らしい景色が開けます。特に兜岩展望台などからは、瀬戸内海に点在する大小の島々が織りなす多島美として知られる美しい景観を一望できます。また、沿道には多くの桜の木が植栽されており、春の行楽シーズンには見事な桜のトンネルが現出し、隠れた花見の名所としても多くの人々を魅了しています。

沿線には、野呂山の自然を満喫したり、歴史や文化に触れたりできる様々な施設や展望スポットが点在しています。眺望を楽しむことができるハチマキ展望台、かぶと岩展望台、星降る展望台といった複数の展望スポットがあるほか、野呂山の情報を得られる野呂山ビジターセンター、筆づくり資料館や絵のある休憩室～芸術村ギャラリー～などの文化施設も訪れることができます。山頂付近には宿泊施設の野呂高原ロッジもあります。また、JR呉線の安芸川尻駅も比較的沿線に近い場所に位置しています。

広島県道248号野呂山公園線は、かつて有料道路「さざなみスカイライン」として親しまれた歴史を持つ、呉市の重要な観光アクセスラインです。急峻な山道を登るルートであり、走行には慎重さが求められますが、山頂から見渡せる瀬戸内海の絶景や、春の桜並木をはじめとする豊かな自然は、訪れる人々に感動と発見を提供してくれます。野呂山へのドライブやツーリング、登山など、様々な目的で利用される魅力的な県道と言えるでしょう。

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