広島県道249号三段峡線

広島県道249号三段峡線

広島県山県郡安芸太田町内を通過する一般県道として、広島県道249号三段峡線が存在します。この路線は、その名の通り、国の特別名勝に指定されている三段峡への主要なアクセスルートの一つとしての役割を担っています。

路線の起点となるのは、山県郡安芸太田町大字柴木の三段峡入口付近です。ここから道路は始まり、終点は同町内の大字川手地区に位置し、主要な幹線道路である国道191号との交差点に至ります。路線の総延長は921メートルと、県道としては非常に短い距離に収まっています。

この路線の状況にはいくつかの特徴があります。まず、起点の三段峡入口付近では、自動車での通り抜けが事実上できない構造になっています。これは、三段峡の景勝地エリアへの入口として、観光客向けの施設や駐車場が整備されており、その先は主に徒歩での散策路となるためです。したがって、この県道は、三段峡を訪れる車両が最終的に行き止まりとなる地点までを結ぶ性格が強いと言えます。

また、終点である国道191号との合流地点に近づくにつれて、道路構造に特異な点が見られます。この区間では、道路の上下線が分離する形をとっており、国道191号へ向かう下り車線（広島方面や加計方面へ進む側）はトンネルを通過します。一方、起点である三段峡入口方面へ向かう上り車線は、近くを流れる柴木川に沿って進む経路となっています。

この上下線分離区間にあるトンネルは「柴木隧道」と呼ばれています。柴木隧道の延長は72メートルで、1965年（昭和40年）に竣工しました。このトンネルは、道路が建設された当時の地形や構造上の制約に対応するために設けられたものと考えられます。

広島県道249号線が通過するのは、山県郡安芸太田町という一つの自治体のみです。沿線の地理的な要素としては、やはり三段峡が最も重要です。四季折々の美しい自然景観が広がる三段峡は、多くの観光客が訪れる地域の中核的な観光資源であり、県道249号線はその玄関口へのアクセスを支えています。

さらに、この県道沿いには、かつて西日本旅客鉄道（JR西日本）の可部線が走っていた廃線跡も見られます。可部線は、地域の生活を支える鉄道として機能していましたが、2003年に一部区間が廃止され、現在の交通網へと変化しました。その廃線跡は、この地域の交通の歴史を物語る遺構として沿線に存在しています。

本路線が他の幹線道路と直接交差するのは、終点における国道191号のみです。国道191号は、広島県から島根県へと抜ける主要な幹線道路であり、県道249号線はこの国道から三段峡への観光客を円滑に誘導するための重要な接続路としての役割を担っています。

このように、広島県道249号三段峡線は、総延長こそ短いものの、国の特別名勝である三段峡への主要なアクセス路として、また地域の地理や交通の歴史を垣間見ることができる沿線を持つ一般県道として、重要な存在意義を持っています。

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