広島県道286号中大迫清田線

広島県道286号中大迫清田線

広島県道286号中大迫清田線（ひろしまけんどう286ごう なかおおさこせいだせん）は、日本の広島県呉市内に位置する一般県道です。この路線は、呉市の南部に位置する倉橋町を起点とし、同じく呉市内の音戸町に至る重要な地域間を結ぶ道路として機能しています。全体として、倉橋島の北部から音戸島の南部へと渡るような経路を辿るルート設計となっています。

路線の概要

この県道は、呉市倉橋町にある大迫港の近くを発着点としています。そこから東へと進み、最終的には呉市音戸町先奥3丁目にある国道487号との交差点で終点となります。総延長は約15.3キロメートルに及び、比較的長距離にわたる県道として、沿線地域の交通を支えています。路線の管理は広島県が行っていますが、全区間が呉市内に収まっているため、市域内の移動における役割が大きいです。

認定から全線開通までの歴史

広島県道286号中大迫清田線は、1972年（昭和47年）11月24日に広島県によって県道路線として認定されました。県道としての指定を受けたものの、その時点ですべての区間が車両の通行が可能な状態であったわけではありませんでした。特に山間部や海岸線沿いの一部区間では、道路の整備が十分に進んでいない通行不能区間が存在していました。

この路線の歴史における大きな転換点の一つが、平成の大合併です。2005年（平成17年）3月20日に、これまで安芸郡に属していた音戸町と倉橋町が呉市に編入合併されました。これにより、広島県道286号中大迫清田線は、その全線が呉市の市域内を通過する路線となりました。この合併は、路線の管理や整備計画にも影響を与えた可能性があります。

そして、長年の課題であった通行不能区間の解消が実現したのは、認定から実に33年以上の歳月を経た後のことでした。具体的には、呉市倉橋町の脇田地区から長谷地区にかけて存在していた約1.9キロメートルの未開通区間が整備され、2006年（平成18年）2月13日に開通しました。この開通をもって、広島県道286号中大迫清田線は、指定区間全体で初めて車両の通行が可能な「全線開通」を果たしました。これは、沿線住民や利用者にとって、地域間の移動が格段に便利になったことを意味します。

地理的特徴と沿線の様子

本路線は、倉橋島と音戸島の沿岸部や山間部を結ぶ形で通じています。起点の呉市倉橋町周辺には、大迫港があり、地域の漁業や海上交通の拠点となっています。また、沿線には呉市立倉橋東中学校があり、地域住民の生活に密着した施設も点在しています。さらに東へ進むと、袋の内港なども見られます。

地理的な接続として特筆すべき点として、呉市立倉橋東中学校の西側付近で分岐する「呉市道赤石線」の存在があります。この市道を利用することで、主要な県道である広島県道35号音戸倉橋線にアクセスすることが可能です。県道35号は、音戸大橋を渡って本州側へ向かうルートや、倉橋島内を縦断する主要な道路であるため、この市道は県道286号と県道35号を結ぶ重要な連絡路としての役割を担っています。

路線全体を通して、海岸線沿いの風光明媚な区間や、緑豊かな山間部を通過するなど、変化に富んだ景観を楽しむことができます。

通過する自治体

呉市

交差する主な道路

国道487号（終点：呉市音戸町先奥3丁目）

沿線の主な施設・名所

大迫港
呉市立倉橋東中学校
* 袋の内港

広島県道286号中大迫清田線は、全線開通までに長い年月を要した難路としての歴史を持ちながらも、現在は呉市内の地域を結び、人々の生活や物流を支える基盤となっています。国道487号への接続や、市道を介した県道35号へのアクセスポイントとしても機能しており、地域の交通ネットワークにおいて重要な位置を占めています。

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