広島県道298号鷲部小用線

広島県道298号鷲部小用線

広島県道298号鷲部小用線（ひろしまけんどう298ごう わしべこようせん）は、日本の広島県江田島市内に設定されている一般県道の一つです。この路線は、江田島市江田島町内の鷲部地区を起点とし、同じく江田島町内の小用地区を終点としています。江田島町を横断する形で主要な地域を結ぶ道路として機能しています。

本路線の具体的な起点は、江田島市江田島町鷲部1丁目に位置する「秋月トンネル（西）交差点」です。ここでは、江田島市江田島町から大柿町方面へと繋がる重要な幹線道路である広島県道44号江田島大柿線と接続しています。一方、終点は江田島市江田島町小用1丁目に定められており、海岸線に沿って走る国道487号に接続する地点です。この終点付近には小用港があり、本県道は小用港へのアクセスルートとしても利用されています。

路線の認定は1996年（平成8年）に行われました。これは比較的近年に県道として位置づけられたことを示していますが、路線の多くの部分はそれ以前から地域住民の生活道路として利用されていたと考えられます。

広島県道298号鷲部小用線の最も特徴的な構造物の一つが、秋月地区に存在する「秋月トンネル」です。このトンネルは延長が1,005メートルあり、1981年（昭和56年）に完成しました。秋月トンネルの建設には、この地域特有の事情が深く関わっています。秋月地区には、在日米軍の弾薬庫が設置されています。過去には、万が一の事態が発生した場合の地域住民の安全確保、特に迅速な避難経路の確保が重要な課題として認識されていました。秋月トンネルは、このような背景を踏まえ、地域住民が安全に避難するためのルートを確保する目的で計画され、建設されたという経緯を持っています。そのため、秋月トンネルはこの県道の単なる通過点ではなく、地域の歴史や安全保障の側面においても重要な意味を持つ施設となっています。

この県道が通過する江田島市江田島町内には、多種多様な施設や場所が沿線に位置しています。例えば、地域の信仰を集める導神社や大行寺、地域住民の日常を支える秋月郵便局などがあります。また、前述の秋月トンネル建設の契機となった在日米軍秋月弾薬庫もこのエリアに存在します。かつて地域の教育機関として重要な役割を果たしていた広島県立江田島高等学校も沿線にありましたが、この高校は2010年（平成22年）3月末に閉校しました。その他にも、地域の子育てを支援する江田島市立小用保育所、金融サービスを提供する呉信用金庫小用支店、そして島の玄関口の一つである小用港の利用者向けの小用港待合所など、地域住民の生活に根ざした施設が沿道に点在しています。

広島県道298号鷲部小用線は、江田島市江田島町内の異なる地区間を結ぶ幹線道路として、地域住民の移動や物流を支える役割を担っています。特に秋月トンネルは、その建設背景から地域の安全確保という特別な意味合いを持つ構造物です。また、小用港へのアクセス路としての機能も果たしており、江田島市の交通網において多様な側面を持つ県道と言えます。

関連項目

* 広島県の県道一覧

もう一度検索