広島県道354号豊島線

広島県道354号豊島線

概要

広島県道354号豊島線は、広島県呉市に位置する豊島を通り抜け、その海岸線に沿うように経路が定められた一般県道です。

特徴

本路線は、全長約9.1キロメートルで、島の周囲を取り囲むように延びています。このため、美しい瀬戸内海の景観を間近に感じながら走行できるルートとなっています。

しかしながら、その経路の大部分は、台風や集中豪雨などの異常気象時には土砂崩れや高波の恐れがあるため、安全確保のために通行規制が敷かれる区間に指定されています。これらの区間を走行する際は、気象情報や道路情報に十分注意が必要です。

歴史と改良

この県道には、長年にわたり地域の交通課題となっていた問題がありました。特に、呉市役所豊浜支所の周辺から、安芸灘諸島連絡架橋の一部である豊浜大橋へと続く入口までの区間は、かつて極めて幅員が狭く、普通車同士の対向でも慎重な運転を要するほどでした。この場所は、豊島の中心部にも近く比較的交通量が多かったにもかかわらず、海岸に近接し、さらに小野浦漁港が隣接しているという地理的な制約から、道路を広げるための改良工事が非常に難しい状況にあったのです。この狭隘さは、地域住民の日常生活はもちろん、島の物流や観光にも影響を与えていました。

特に、公共交通機関であるさんようバスの路線バスは、この狭い区間を安全に通過することが困難だったため、やむなく農道を経由して大きく迂回するルートで豊浜支所まで運行せざるを得ない状況が長らく続いていました。これにより、バスの運行時間が増加したり、利用者の利便性が損なわれたりといった影響が出ていました。

しかし、長年の課題であったこの狭隘区間は、関係機関の尽力により、2018年（平成30年）に待望の道路拡幅工事が完了しました。これにより、安全な通行が可能となり、大型車両の通行も容易になりました。最も顕著な効果の一つは、路線バスの迂回運行が解消されたことです。バスは本来の県道ルートを通行できるようになり、運行の定時性や利便性が大幅に向上し、地域住民はもとより、島を訪れる観光客にとっても大きな改善となりました。

路線データ

起点: 広島県呉市豊浜町大字豊島（呉市役所豊浜支所前）
終点: 広島県呉市豊浜町大字豊島（呉市役所豊浜支所前）
総延長: 約9.1 km

地理

本県道が通過する自治体は、全線にわたり広島県呉市のみです。

地理的な特徴として、沿線には豊浜大橋がありますが、この橋自体は安芸灘諸島連絡架橋の一部を構成する重要な橋梁であるものの、県道としては認定されておらず、農道として位置づけられています。

沿線施設

沿線には以下の施設や景勝地が点在しています。

呉市役所 豊浜支所
豊浜市民センター
豊浜大橋（安芸灘諸島連絡架橋4号橋）
アビ渡来群游海面（国の天然記念物）
豊島大橋（安芸灘諸島連絡架橋3号橋）
呉市立豊浜中学校

これらは、島の地域生活や交流にとって重要な施設であり、本県道はこれらを結ぶ役割を果たしています。

関連項目

広島県の県道一覧

もう一度検索