広島県道377号向島循環線

広島県尾道市に指定されている一般県道の一つに、広島県道377号向島循環線（ひろしまけんどう377ごうむかいしまじゅんかんせん）があります。この路線は、同市が管轄する向島を文字通りほぼ一周するように設定されており、島内の生活やアクセス、そして観光の面で重要な役割を担っています。

路線データ

本県道は、向島町内の兼吉フェリー乗り場前を起点とし、島を周回して富浜交差点に至るルートです。終点である富浜交差点では、主要な幹線道路である国道317号と接続しています。路線の実延長は18.74キロメートルとなっており、自動車はもちろん、自転車や徒歩での移動にも利用されています。

路線状況

向島循環線は、その経路によって道路の状況が異なります。向島の西部地区では比較的道路が整備されており、スムーズな走行が可能です。しかし、島の南部から東部にかけての区間には、依然として道路幅が狭い部分が多く残されています。これらの狭窄部では通行に注意が必要な場合があります。また、南から東にかけての区間では、県道を示す標識や目的地への案内標識が十分に設置されていない場所もあり、初めて通行する際には道に迷いやすいといった側面も指摘されています。

一方、向島の南西岸部においては、広島県道466号向島因島瀬戸田自転車道線と経路を共有している区間があり、ここでは自転車道の県道標識が多く見られます。

重複区間

本県道は、そのルートの途中で他の重要な道路と経路を共有する、いわゆる重複区間が存在します。

国道317号: 尾道市向島町の区間から、向東町にある二番潟交差点までの間で重複しています。
広島県道466号向島因島瀬戸田自転車道線: 尾道市向島町の立花地区から向島町内の別の地点まで、自転車道と重複しています。
国道317号: 尾道市向島町内の一部区間でも再度重複しています。

道路施設

向島循環線上には、いくつかの河川を渡るための橋梁が架けられています。

東西橋: 江郷川を渡る橋で、国道317号との重複区間に位置しています。
新御幸橋: 長谷川に架かる橋で、こちらも国道317号との重複区間内にあります。
歌島橋: 天神川を渡る橋です。
* 江尻橋: 江尻川に架かっています。

これらの橋は、島内の移動において重要な役割を果たしています。

地理

広島県道377号向島循環線は、全線を通じて広島県尾道市内のみを通過します。終点である富浜交差点で国道317号と接続するほか、島内の様々な生活道路や農道などと交差しています。

沿線

本県道の沿線には、向島の生活や歴史、自然にまつわる様々な施設や景勝地が点在しており、周回するルートならではの多様な風景を楽しむことができます。

主な沿線施設・場所としては、路線の起点近くにある兼吉フェリー乗り場や、その隣にある兼吉バス停待合室があります。この待合室は、大林宣彦監督が1995年に公開した映画『あした』のロケセットとして向島南岸で使用されたものを移築したものです。

その他、島内の行政サービス拠点である尾道市役所向島支所や向東支所、そして地域の子どもたちが通う尾道市立向東小学校、尾道市立向東中学校、尾道市立高見小学校、尾道市立三幸小学校といった教育機関も沿線に位置しています。研究施設としては、広島大学臨海実験所があります。

歴史的な場所としては、かつて水軍の拠点であった余崎城跡が沿線近くにあります。また、夏には多くの人が訪れる立花釣ヶ浜海水浴場も本県道沿いにあります。

さらに、島外へのアクセスや景観の一部となっている構造物も見られます。農道橋である向島大橋、尾道水道を隔てて本州側に見える岩子島、そして隣の因島へ渡る因島大橋も沿線景観の一部として認識できます。島内には、マリンユースセンターや、尾道中学校・高等学校といった施設も立地しており、これらの場所へのアクセス道路としても機能しています。

広島県道377号向島循環線は、向島を巡る多様な景色と生活に触れることができる、変化に富んだ路線と言えるでしょう。

もう一度検索