広島県道388号木野山府中線

広島県道388号木野山府中線は、広島県府中市内を通り、同市木野山町を起点とし、府中町に至る一般県道です。

この路線は、約5.2キロメートルの総延長を持ちますが、起点の木野山町地区から荒谷町地区にかけての約1.6キロメートルは現在も未開通のままとなっています。この未開通区間については、現時点では近隣の林道が代替の迂回路として利用されています。未開通区間の解消に向けて、トンネル整備による新たな道路建設が構想されていますが、広島県の厳しい財政状況から、具体的な着工にはまだ至っていないのが現状です。

路線の歴史を見ると、本県道は1996年（平成8年）4月25日に広島県告示第469号によって認定されました。これは、既存の広島県道183号小畠府中線の一部が、荒谷町地区において広島県道417号小畠荒谷線として分離・再編される形で、新たに誕生した路線です。この経路の選定により、歴史ある旧石州街道、別名「石見銀山街道」に沿う形で新たな県道が整備されることになりました。しかし、先述の通り、その全区間が供用されているわけではありません。

現在の道路状況としては、概ね1車線または2車線の幅員で整備されています。ただし、未開通区間を除く供用済み区間の中にも、特に荒谷町から出口町にかけての一部区間には狭隘な箇所が存在し、自動車の対向時にすれ違いが困難な場所が見られます。

未開通区間が開通した場合のメリットは大きく、地域の交通体系に多大な影響を与えることが期待されています。具体的には、未開通区間が解消されれば、三次・庄原といった県北方面からのアクセス時間が短縮されるほか、国道486号と並行する形で府中市上下地区との新たな連絡経路が確保されます。これは、幹線道路である広島県道24号府中上下線の代替路としての機能も担うことになり、府中市中心部と上下地区間の交流促進に貢献すると見込まれています。

路線上には、出口川を渡る明神橋や三室橋といった道路構造物も整備されています。地理的には、本県道は全線にわたって広島県府中市内を通過します。起点では広島県道24号府中上下線と、そして終点の府中町にある剣先橋交差点では国道486号と接続します。

沿線地域では、旧石州街道の歴史的な価値を活かした地域活性化の取り組みが積極的に行われています。例えば、荒谷町地区では「荒谷往還」、出口町地区では「出口通り」と名付けられたエリアを中心に、地元住民によるまちおこし活動が展開されています。特に、出口通りは2005年度に国土交通省の「夢街道ルネサンス」として「石州街道出口通り」が認定されるなど、その取り組みが外部からも高く評価されています。これらの活動は、地域の歴史遺産を守り、訪れる人々にその魅力を伝えることを目的としています。

沿線には、三室山公園、甘南備神社、首無地蔵といった歴史や自然を感じられる場所や、子ども向けの施設であるPOM府中こどもの国など、地域住民や訪問者が利用できる様々な施設も点在しています。

このように、広島県道388号木野山府中線は、一部に未開通区間を残しながらも、旧石州街道という歴史的な背景を持ち、地域の交通利便性の向上や沿線のまちおこしにおいて重要な役割を担っている一般県道です。未開通区間の早期解消と、それに伴う地域のさらなる発展が期待されています。

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